KING AMUSEMENT CREATIVE | SONIC BLADE

SPECIAL スペシャル

  • MOVIE
  • 謎と彼女X
  • イベントレポ
  • DOWNLOAD

イベントレポ

  • 『謎の!?』イベント
  • 謎の五月祭X

5月19日(土)に東京大学の第85回五月祭にて開催された
『謎の五月祭X』のイベントレポートが到着!!

5月19日、東京大学の五月祭にて『謎の彼女X』講演会『謎の五月祭X』が開催された。
出演はTVアニメ監督の渡辺歩さん、卜部美琴役の吉谷彩子さん、丘歩子役の広橋涼さん、原作が連載中の『月刊アフタヌーン』(講談社刊)で担当編集をつとめる那須利治さん、キングレコードプロデューサーの池田慎一さん。司会進行は本講演会を主催した東京大学コンテンツゼミの桶原さんがつとめた。
会場は工学部棟の教室。コンテンツゼミの皆さんは椿や卜部が通う都立風見台高校をイメージしてYシャツに黒ズボンの夏服姿を着用するなど学生生活の香り漂う会場は作品にピッタリ!
5人の出演者が入場し、まずそれぞれのご挨拶などを始めたところ主催側の学生の皆さんがちょっと緊張気味だったため、「若干、硬めなのでやわらかくいきましょう!」の声も。
また原作者・植芝理一先生からも「人前に出るのがものすごく苦手なもので、今日は申し訳ありません。僕もアニメに負けずに漫画を一生懸命描きますので、応援よろしくお願いします。」 というコメントとともに、このイベントのために前日スケッチブックに描いていただいたというイラストを那須さんが紹介してくださった。

トークに入る前に会場に「東大生の方はいますか?」と尋ねると数人が挙手。大学生も10人程度。社会人が9割近く、女性の姿も結構見られます。
またアニメ化で本作品を知ったという人が多く、池田Pと那須さんは「アニメ化してよかった」とうれしそう。
トークが始まり、最初のテーマになった『謎の彼女X』がアニメ化された経緯については、「我々がアニメ化したいと考えていた時、制作スタジオのフッズエンタテインメントさんからもアニメ化を希望するお話があって。渡辺監督がやりたいとおっしゃっているというお話も聞いて、講談社さんに打診しました」と池田P。
「2010年の秋くらいですね。植芝さんに話したら『お任せします』と。そして2011年2月にスタッフの皆さんと顔合わせをして、先生に何か要望はありますかと聞いたら『すべて皆さんにお任せします。ただ一つだけお願いがあるんですが・・・』と映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』のDVDに渡辺監督のサインをお願いして(笑)」と那須さんが話すと渡辺監督も「僕も原作にサインをいただきました!」と初顔合わせは不思議な光景だったらしい。そんな渡辺監督は「4巻が出た2008年頃にフッズさんからお話をいただきました。元々、作品は知っていたけど、実はその前から『ディスコミュニケーション』をやりたいと思っていて。期間が空いたけどようやく実現しました」。
 スタッフの座組については「一番テンションの上がるタイトルを、テンションの上がる人とやりたくて、(キャラデザインの)小西賢一さんと(総作画監督の)金子志津枝さんにお願いしました」(渡辺監督)。「風変りな部分だけをフューチャーせず、気持ちの部分をしっかり描ける、最強の布陣です」と池田P。

 卜部のキャスティング決定の経緯は「ヒロインの声を決めるのが難しい作品の一つでした。卜部の魅力と違和感、謎な感じが伝わるようにと考えて、かなり難航していた中で、中身も謎な人がオーディションに来て、すごい印象を残して。テープで聴いてもすごいインパクトで」(池田P)、「ふらっと現れた、ちょっとたどたどしい少女がいて、周りをきょろきょろして。しかもスマフォをいじってて、『すいません。うちのFAX壊れちゃって』と。スマフォでシナリオを読もうとしていて、大丈夫かなって(笑)。でも声を発した瞬間、みんなが息をのんだし、その後の声が頭に入らないくらいインパクトがありました」(渡辺監督)。最終的に植芝先生が気に入ってくれるか心配だったと話す渡辺監督に「植芝さんはキャスティングに関してもお任せでしたがオーディションテープはいっぱい聴いてました。吉谷さんに決まったと聞いた時、そんな気がしてたと。『(1話の)“それは恋の病よ”のセリフの力強さがすごかったんですよね』と昨日、聞きました(笑)」という那須さんのお話に、ホッと胸をなで下ろす渡辺監督と喜びを隠せず笑顔になる吉谷さん。

吉谷さんは「決まった時はめちゃくちゃうれしかったです。それと同時に皆さんのイメージする卜部美琴に近付けるようにしなきゃというプレッシャーもありました。口パクに合わせることさえ、わからないままでしたが勉強させていただくつもりで臨みました。広橋さんに台本のめくり方から教えていただきました」広橋さんは「先に原作に付くドラマCDの収録で初めて彩子ちゃんと会ったんですけど、みんなで『かわいいね』と。ドラマCDでは決まったマイクでしゃべって、彩子ちゃんが『アニメもこんな感じなんですか?』と聞いてきいたので『空いてるところに入るんだよ。大丈夫だよ~、みんな意地悪とかしないから』と(笑)」。そして3話から参加となった広橋さんがいざ現場に行くと、すっかり吉谷ワールドになってて。何とも言えない独特の居心地がいい現場になっていたのが素晴らしいなと思いました」。
また「『何? この胸の高鳴りは?』と毎回思わせてくれます。いい影響を与えてくれる人です」と言われて、頬を赤らめ「うれしい」とつぶやく吉谷さん。
続いては1話の映像を見ながらライブコメンタリーするコーナー。6月27日に発売が迫るブルーレイ&DVD用に編集された製品版の映像で、1話のオンエアではなかったOPが入っていたり、リテイクが施されたバージョンのお披露目。本編に入ると渡辺監督が「入野さんの芝居が光ります。もう彼以外、考えられません。テンパリ芝居は職人芸です」と力説。そして卜部が転校したシーンで記念すべき第一声「よろしく」を聞いた吉谷さんは「ちょっと怖いですよね(笑)」。

 「授業中、卜部が突然笑い転げるシーンはオーディションでもあって、もっと奇妙に笑ってと言われて、奇妙に笑った記憶があります」という吉谷さん。この後、説明する場面は「吉谷さんらしいですよね」と言われ、「私の声だな、と思いました」と答える天然っぽさも発揮。そして椿が卜部の残したよだれをなめるシーンでは「この段階では椿のほうがヘンタイですね(笑)。でも放課後の教室はドキドキするでしょ?」と渡辺監督。椿の夢のシーンで流れる音楽が吉谷さんと広橋さんがお気に入りらしい。3DCGで作られたレトロな町並みもかなりこだわっているとのこと。「どのセクションにも植芝先生フリークがいるので、黙っててもこうなります」(渡辺監督)。ちなみに卜部と椿が待ち合わせる場所は「植芝さんの地元の高校の裏らしいです」と那須さん。
 椿の自宅を見舞うシーンで姉の陽子が登場すると「かわいいでしょ?」と目じりが下がる渡辺監督に「お姉さん、好きだと思ってました」と女性陣から指摘され「バレたか」。そして卜部がよだれを椿の口に入れるシーンのくちゅくちゅする音は実際に吉谷さんが音をさせているそうで、渡辺監督が「変なことさせてごめんね(笑)」。

 1話終盤はセリフ量が膨大で大変だったという吉谷さん。更に「表情がまったく見えないので、どうやって感情を入れたらいいか、わからなくて。でも、これは説明だからまったく感情を入れないでと言われました」。
 そして二人が下校する時に卜部がよだれを椿に与えるシーンで「よだれは青春の汗ですから」と言い放つ渡辺監督に会場からは「おーっ!」という声が。椿が告白するシーンは「いい話ですよね。私、大好き」(吉谷さん)、「うれしいよね」(広橋さん)と女性陣に大好評。そして「今日から椿君の彼女だよ」のセリフに「はぁ」とため息を漏らす会場。本編が終わって池田Pの「1話はてんこ盛りですね」の言葉に会場全員も納得していたのでは。
見終わった後の感想は、「どんどん謎が深まるのがわかる1話で、今後の卜部と椿がどうなるか、気になると思います」(吉谷さん)、「大林宣彦監督の青春映画が好きなので、坂道を男子と女子が歩いていたり、Boy meets Girlみたいなテイストが見られて、1話で『大好き!』と思ったことを思い出しました」(広橋さん)、「植芝さんはヘビーローテーションで見てました(笑)。監督の絵コンテやスタッフの皆さんの芸の細かさ、演技などが好きだと見入ってました」(那須さん)、「リテイクがちゃんと直っているのか、気にしながら見てました(笑)。1話で皆さんに卜部と椿のことを好きになってもらえるかが課題でした」(渡辺監督)。

ここでOPの絵コンテをスクリーンで見ながら渡辺監督が自ら解説するコーナーも。
「OPは実は椿が卜部に襲われる死亡フラグが経つような曲をイメージしていたら、想像以上にさわやかな曲が手元に届いてどうしようと(笑)。最初のプランから大幅な変更を余儀なくされましたが、結果的に良かったですね。いろいろな要素がある作品だけど、そぎ落としていくと初めて恋人ができた男の子と女の子の物語なのでそれを等身大で描いてあげるのが一番で。群集の中で通じ合える子がいるかもしれないという映像にしました。また夕闇迫る中、わずかな時間を二人で過ごすことが重要なのでOPの終盤はそこに戻って」。
那須さんが先生から預かったスケッチブックには「OPで階段を昇る時の卜部のとてとて感がかわいい」と描かれたイラストが。「階段のシーンは先生に捧げるつもりで最高密度でやりました(笑)ちなみにそのシーンは吉谷さんのイメージ」

レモンが何度も出てくる理由については「一口かむと苦味があるけど、その苦味を知ったもの同士が初めて通じ合えるものがあるかもしれない」。その後、「最後の卜部が口をとがらすシーンは僕の欲望が抑えきれずに描いてしまいました」と話して場内が笑いに包まれた。


『謎の五月祭X』レポート Part.2
 第2部は質問やテーマに登壇者が答えていく形のトーク。まず『謎の彼女X』の人気に秘訣について聞かれた那須さんは「植芝さんは一貫して“不思議”を提供してくれていますが、この作品では不思議を卜部に集約して最大の魅力に置き換えて、彼女がどんな不思議を見せてくれるのかというワクワク感につながっていて。そこが好評を博して、アニメにもなったんじゃないかなと思います」。
また原作を読んだ感想と好きなエピソードについては、「Boy meets Girlがわかりやすく描かれていて、各話に強烈なコマが1個以上あるのがたまらなくエロくて(笑)。『この脚は椿君専用の脚だよ』とか」(池田P)、「『椿君のことだけを思っているんだよ』と心が通じるシーンが時折あるのが何ともいえなくて。続きが気になる回とうっとりできる回があって。どのシーンも好きですけど、ファーストキスをする、しないと二人が話すシーンや、椿が卜部を押し倒すシーンなどせつない不器用さを感じさせてくれて、すごい引き出しがある作家さんだなと感心させられました」(渡辺監督)。

一方の女子チームは「最初に読んだ時、タイトル通り、謎で。『よだれ!?』と驚いたり、殺人事件が起きそうな雰囲気があったり。でも実は純粋なラブストーリーでおもしろいなと思いました」と吉谷さん。更に「椿君は正直なところにひかれるし、かわいいです」と言った途端に、「かわいいですよね。文化祭に行くまでは」と広橋さん。
「マンガを読んでて、なんてヤツなんだと。それまでは二人の甘酸っぱいやり取りを『いいな』と思って見てたのに、昔好きだった女子が出てきたら……。優しさってそういうことじゃないだろう」と怒ってしまうほど広橋さんは感情移入して読んだとのこと。ちなみに初めて読んだ時は「世の中にはとんでもないマンガがあるんだなと(笑)。でも品が良くて、いいバランスなんですよね」。
 植芝先生の印象を「シュッとしてて。『謎の彼女X』を描いている人とは思えない方で(笑)。」「でも、天才という感じがしました」と女性陣が話すと、「すごくピュアな人ですね。好きなものを追究するタイプで。ちなみに監督と同じく高校では彼女いなかった派だそうです(笑)」と那須さん。また植芝先生と那須さんが同じ高校だったことを明かすと「椿と上野なんですか?」と広橋さん。
 また植芝先生の描写の細かさを渡辺監督が指摘すると「高校時代から細かい絵を描いて、それをコラージュして1枚の絵にするようなことをしてましたね」と那須さん。

 この作品を映像化する際に渡辺監督が考えたことは「完成された世界なので、読んだ時の印象を再現するのがベストで。また世代が持つ共有感や時代感を出せればいいなと。そう考えると放課後、帰り道、夕日はどの世代にも共通項としてあって。あとは各セクションが作業していく中で、見てきたもの、懐かしいもの、自分の中で愛おしいものが自然に出てきたんです。60年代後半生まれが多いからかな。背景さんにも古く描いてくれなんて言ってないのに、上がってきたものはとんでもなく昭和で。よく見たら炊飯器がジャーじゃないものだったりして。これはやり過ぎだろうと(笑)」。椿の夢の街も「みんなが原作をつき合せて、ディティールを解析していく中で、植芝ワールドにハマってしまって。先生のこれがなくちゃダメなんだ、というこだわりがうつったのかも。あのカリカリ感をアニメでも再現しようと取り組んでます。」

 作品中には携帯電話が出ない設定について、「パソコンを持っていませんし、アナログ人間なのでむしろやりやすかったです」と答える吉谷さん。一方の広橋さんは「私の高校時代は携帯じゃなくポケベルだったので懐かしくて。好きな子に電話するのも家にかけなきゃいけなくて、本人より家族が出てきて、気まずいっていうのもわかります(笑)。家ではこんな風に呼ばれているんだぁ、とか」
 椿&卜部コンビと違い、仲が進んでいる上野と丘について、広橋さんは「アニメでは上野とラブラブなシーンはあまりなくて。だから上野との二人のシーンがあるとドキドキとは違う、こそばゆい気持ちになります。“彼女”の時の丘と、卜部に挑戦的な丘は違うのでそこがおもしろいです。丘が卜部に興味があるように、私も丘に興味があります」と話した。
 
 続いては植芝先生へ事前にアンケート質問をお渡しして、その答えをスケッチブックに描いてもらい、その結果を発表するコーナー。気になる植芝先生の回答は・・・?

【デビューのきっかけを教えてください】

大学2年終了の春休みに描いたはじめての漫画が
コミックモーニング1991年前期コミックオープン大賞を受賞しました。
そのままモーニング24号に掲載、こっちに向いてるのではということで、当時モーニングの増刊号だったアフタヌーンの1992年2月号から連載を始めさせてもらいました。
それまではワラ版紙にびっしりとイメージ画のようなものを描いてましたが、いきなりの連載話で驚きました。

(ちなみにその際の植芝先生の受賞コメントは以下のようになります。)
はじめて描いた漫画にもかかわらず大変栄えある賞をいただいて、本当にうれしく思います。これからもさらによい漫画を描くために一層の精進をする所存です・・・と思う。たぶん。


【趣味は何ですか?】

特にはまっている趣味はありませんが、あえて言うと映画やアニメのDVD・Blu-rayを見ることでしょうか。


【何フェチですか?】

部分フェチとかではないつもりです。時計のG-shockがはやったとき、女子高生がごついG-SHOCKをつけてるのを見てグッと来た記憶があるので、女の子の華奢な体にごついメカ的なものがくっついているシチュエーションが好きなのかもしれません。僕の中では歯の矯正の金具とか、メガネも意外とそのカテゴリです。もしかしたら、卜部のパンツ・ハサミもその流れで浮かんだのかもしれませんね。


【人生のバイブル】

墓にまで持っていくもの、という意味ではやっぱりYMOのファーストアルバム『YELLROW MAGIC OHCHESTRA』ですかね。今でも毎月1回は聴いています。


【好きな(影響を受けた)マンガ作品】

ひとつ挙げるとしたら小学生のとき読んだ藤子不二雄の『T・Pぼん』。それまでもマンガはよんでいましたが、僕もマンガを描いてみたいなあ、と思わせてくれた特別な作品。これを呼んで藤子ファンクラブにも入りました。


【好きな(影響を受けた)アニメ作品】

『ルパン三世 カリオストロの城』。いろいろと影響を受けました。


【好きな(影響を受けた)映画作品】

映画はいろいろ好きですが、実写ものということで範囲を広げて『ウルトラセブン』にします。


【好きな(影響を受けた)小説・作家】

司馬遼太郎。作品としては彼の『花神』。大村益次郎の恋人がシーボルトの娘で、いろいろラブコメ度も高い作品なのです。


【好きな(影響を受けた)音楽】

YMO! カラオケではアニソンしか歌いません。でもちゃんとそのアニメの映像が出ないと、消しちゃいます。


【好きな(影響を受けた)俳優】

『がんばれ!ロボコン』でロビンちゃんをやっていたころの島田歌穂。かわいいんですよ!
近年では単行本にも書きましたが多部ちゃんかな。


 そして会場からの質問に答えるコーナーへ。全5問の質疑応答は以下の通り。

① ROUND TABLEの北川勝利さん作曲のOP曲とED曲を吉谷さんが歌っていますが、吉谷さんが歌うことが先に決まっていたのか、北川さんが作ったのが先なのでしょうか?

池田P「北川さんに曲をお願いする時にはまだ卜部役が決まっていませんでした。ポップでかわいい曲を卜部役の人に歌ってもらいたいと考えたら北川さんがいいかなと。吉谷さんに決まった後、曲作りの前にキー合わせのため北川さんと一緒にカラオケに行って歌ってもらいましたね」
吉谷さん「2時間一人でもくもくと(笑)。OPとEDはブルーレイ&DVDの特典CDでフルで聴けますのでぜひ」
質問の方から「今期一番のOP&ED曲と周りで評判になってます」と言われた吉谷さんは喜び「ごふってよだれが出ちゃいそう(笑)」

② 自分が出演する作品以外のアニメは見ますか? 今、おもしろいなと思っている作品は?

吉谷さん「見ます。渡辺監督の『宇宙兄弟』や入野さんが出ている『つり球』とか。このお仕事をやるようになってからアニメを見る本数も増えました。」

広橋さん「私はちょっと前にやっていた作品で最後まで見たのが『テルマエロマエ』。最高におもしろかったです。あと今、おすすめは『タイガーマスク』です。本当におもしろいのでぜひ見ていただきたい!」

③卜部がUFOのキーホルダーやペンを持っていたりしますがあれはスタッフさんのイメージで描かれているのでしょうか?

渡辺監督「この子はひょっとしたら宇宙から来たんじゃないかと思わせる描写が原作にもあって。連載初期、卜部の部屋にUFO関係のポスターが貼ってあったり。謎を表現するのにいいモチーフだなと思って僕自身も積極的に取り入れているところはあります。家族構成も見えないし、下校した先の生活が見えないのは想像力をかき立てられますね」 那須さん「実は0話の構想を作っている時、卜部は狗神を祭る一族の娘という設定がありました。でも“女の子”であること自体が不思議なんだから、そんな設定は必要ないんじゃないかと。いまだに僕にとっても卜部の設定は謎です」

④声優初体験の吉谷さんの演技に、他のキャストさんは合わせているんですか? または音響監督からも合わせる指示があったりしますか?

広橋さん「合わせている意識はないです。他の現場に比べて生っぽくて、ガヤのシーンでも自然に感じるままにやってます。また卜部はトリッキーなので、周りも合わせて変わったことをしようとするとかえってジャマになって、ピュアさがなくなるという演出意図があるんじゃないかと。そこは他の役者さんも共通認識としてあって、ナチュラルな方向になっていったのかなと思います」
渡辺監督「お互いに影響し合っていくという計算が音響監督の三間さんにあったのかもしれません。優れた音響監督の元、素晴らしい役者さん達がのびのびできる環境がこの作品の中ではあったということです」

⑤原作とアニメで違うシーンやポイントはどのように生まれるのでしょうか? また原作サイドとしてはそういう部分をどう受け取っているのでしょうか?

渡辺監督「原作そのままといいながら、アニメにするために一度分解して、感情の流れや状況に応じてのキャラの反応はそのつど検証しています。アニメの30分という尺とマンガでは時間的な自由度も違うので圧縮したり、省略したりするため原作と違う点も出てきますが、最終的に原作と答えが一緒ならばいいかなと」
那須さん「動く絵はアニメのスタッフさん達がよくわかっていると信頼しているので植芝さんは特に気にしてません。むしろOPでアゲハ蝶がひらひらしているところとか、自分にない演出を探すのが大好きで、『ここはこうきたんだ!』とうれしそうにご覧になっています」


 3時間にわたる講演会の最後はジャンケン大会。出演者から吉谷さんが代表してジャンケン。勝ち残った人には番組ポスターがプレゼントされた。
植芝先生が描いた卜部が正座して頭をぺこりして「ありがとうございました」のメッセージイラストにほっこりしてイベントは終了したのだった。