――原作を読んでの感想は?
心理面など、お話としてすごくよく構成されていて、とても面白かったですね。深いところまで考えられていることが、読めば読むほどわかってきました。スルメではないですけど、噛めば噛むほど面白いと言いますか、原作の筧さんがとてもよく考えて描かれていることがわかりました。
――アニメにするにあたって、どのようにしようと考えましたか?
漫画とアニメとでは媒体が違うので、漫画の構成をそのままアニメにしても、面白くならないこともけっこうあるんです。なので漫画のよい部分をうまく拾って、そこをアニメで見せる時に面白くなるように表現していけたらいいな、とは考えています。
――シリーズ構成としてもクレジットされていますよね。
そうですね、今回初めて担当させていただいてます。ストーリーに関しては、原作のストーリーの通りに進めることを考えてはいます。でも、まだ完結していない漫画なので、アニメはアニメなりの結末をつくらなくては、というのが考えどころで(笑)。はっきりハッピーエンドにするよりも、まだまだこれからもお話が続いていく、という形でまとめられたらな、と思っています。
――原作の筧秀隆先生とは、どのようなお話をされましたか?
「アニメはアニメのやり方で作っていただいて結構ですよ」というスタンスをとっていただいていて、けっこう任せていただいてるかと思います。また時間がある時は本読み(シナリオ会議)にも参加してもらって、筧さんの意見をもらったりもします。その意見がとても的確なので、相当考え抜いて漫画を描かれていることを改めて感じますね。
――勇治と香月の関係をどう描いていこうと考えていますか?
原作とあまり変わらないかと思うのですが、お互いにあまり素直じゃない、だけどお互いに気にはしている、という微妙な間合いが大事かな、と。ここまでは許すけど、ここからは許せないというラインをお互いにぶつけあいながら見極めをしている、そんな雰囲気を出せていればいいなと思います。そこの線引きを見誤ると、ラブラブなだけのお話になってしまうんですよ。くっつき過ぎず離れ過ぎず、ちょうどよい緊張関係を描いていきたいですね。
――アニメならではの展開などはありますか?
ニーナは原作にも登場していいるキャラクターですが、実はアニメが先なんです。どういうことかと言うと、アニメの制作を始めるにあたって、オリジナルキャラクターを出そうということで誕生したキャラクターなんです。それを筧さんが原作にも登場させた、ということですね。アニメの放送より先に漫画に登場していますが、実はアニメオリジナルのキャラクターなんです。でも漫画でのニーナの描かれ方と、アニメでのニーナの描かれ方は多少違ったものになると思いますよ。そこはアニメならではの見どころと言えるかもしれませんね。
――ニーナを出そうと考えられた理由は?
まりえ(のキャラクター)を立たせたいと思い、まりえに関係するキャラクターがほしい、というのが発端です。まりえは内気というか、あまり喋らないキャラクターなので、対照的なクラスメートを出して、その子を通してまりえの心の動きと言いますか、大げさに言えば成長みたいなものを描ければいいな、と。「となグラ!」はどうしても香月と勇治のお話がメインになるのですが、そこにまりえとニーナのお話も加えられれば、という目的もありますね。
――アニメの制作にあたって、こだわっていることなどはありますか?
やっぱりお色気ですかね。原作もそうなんですが、健康的なお色気にはしたいと思っているので、そこの度合いをどうするかは気を遣っています。あとは初音の衣装。初音は料理を作るシーンが多いのですが、その献立に合わせた服装をしているんですよ。たとえばカレーの時はインドっぽい衣装、ベトナム料理ならベトナム風な衣装、そのほかレースクイーンやメイドさんの格好をしたりもするので、初音の衣装は見ているとおもしろいと思いますよ。
――ほかに原作にはない見どころなどはありますか?
初音のシスコンが原作よりもすごくなっていると思います。一歩間違えるとストーカーかも? というくらいのシスコンっぷりを見せたりもします(笑)。香月の小さいころの写真を撮り溜めていたりしますし、ほかにもシスコン全開なシーンが幾つもありますよ。
――声優のみなさんの演技については、いかがですか?
アフレコはもう半分以上終了しているので、順調だと思いますよ。勇治役の吉野(裕行)さんのアドリブも面白いし、みんなどんどんキャラクターを掴んで、ノッてきていると思います。
――最後に視聴者のみなさんに対して、メッセージをお願いします。
香月と勇治のツンツンデレデレしたお話を、見守っていただければ。ほかのキャラクーもみんな個性的で魅力的ですし、いろいろとお遊びも盛り込んだつもりですので、ぜひ楽しんでください。