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山に囲まれた小さな街。頭上には閉塞的な空。
文學を愛し、文學の盟友たる己を特別な存在と考える、春日高男。
誰とも馴れ合わず、孤立する少女、仲村佐和。
クラスのマドンナ的存在である、佐伯奈々子。
何の変哲もない、いつもの放課後。禁断の華は、彼らの青い彷徨を糧に花開く…
夕闇が迫る教室。静寂に包まれた放課後。それは、事故のような出来事だった。
思春期特有の熱に浮かされた、春日高男。
春日の秘密を目撃した、仲村佐和。
羞恥によって涙する、佐伯奈々子。
強引に交わされた、一方的な契約。禁断の愉悦が、彼らの心に青い滲みを拡げてゆく…
苦腦のまま朝を迎えた街。噂話にどよめく学び舎。一度は決めたはずの心が揺らぐ。
追い詰められ、逃げ場をなくした、春日高男。
あらぬ嫌疑をかけられる、仲村佐和。
いまだ消えぬ不安の中の、佐伯奈々子。
脅迫的な放課後の密会。禁断の歯車は、彼らの青い衝動を加速させてゆく…
心無い嘲笑の昼休み。級友達の蔑みの瞳。突如、一変する空気。
思いもよらぬ救済を得た、春日高男。
無邪気に要求を突き付ける、仲村佐和。
天使のように微笑む、佐伯奈々子。
悦びもつかの間に、混沌へと引きずり降ろされる日曜日。禁断の盟約が、彼らに青い苦悩を呼び起こす…
晴天の下に訪れる約束の休日。長閑な空気に包まれた町並み。布一枚に隔てられた秘密。
危うくも、浮足立つ、春日高男。
意図を持って見守る、仲村佐和。
緊張しながらはにかむ、佐伯奈々子。
否応なしに剥がされていく外殻。禁断の冥暗は、彼らの青い純真に静かに忍び寄る…
予想外の展開を迎えた朝の校舎。友との爽やかな一時。
いまだ変わらぬ現実へと向き合わされる、春日高男。
態度を軟化させたかのように見えた、仲村佐和。
幸福の中の疑惑に揺れる、佐伯奈々子。
平穏な日常を願うほどに、翻弄されてゆく心。禁断の果実の馨りに、彼らは青い火照りを抑えられない…
約束の直後に裏切る午後の公園。無慈悲なほどに晴れわたる青空。
己の無力を思い知った、春日高男。
高らかに笑う、仲村佐和。
信じたいと願う、佐伯奈々子。
絶望の先で、緩やかに、そして確実に、覚醒し始める衝動。
禁断の関係が、彼らに青い躓きを齎す…
穢れとは無縁な早朝の通学路。繋がれた手から感じる確かな絆。まるですべてが夢だったかのように。
戸惑いと混乱の中の、春日高男。
満ち足りた表情の、仲村佐和。
愕然と崩れ落ちる、佐伯奈々子。
さらけ出した衝動の残り香が、新たな決断を余儀なくさせる。禁断の告白が、彼らの青い心痛を嘲笑う…
予定調和で進められてゆく全校集会。嘔吐をもよおす体育館裏。
別れを告げた、春日高男。
つまらなさそうに見下す、仲村佐和。
すべてを受け止めようとする、佐伯奈々子。
真摯でひたむきな呼びかけが、図らずも傷を抉って追い詰める。禁断の熱情は、彼らの青い断片を奪い去ってゆく…
夕暮れの側路を走る二人乗りの自転車。黒より深い闇に飲まれつつある山道。
逃げ出したいと願った、春日高男。
向こう側を選んだ、仲村佐和。
引きとどめる、佐伯奈々子。
躊躇いの中で、見透かされてゆく空っぽの躰。禁断の連鎖が、彼らの運命に青い楔を打ちつける…
土砂降りの夜を彩るサイレン。プールサイドに照りつける日差し。
虚ろな瞳の、春日高男。
心を閉ざした、仲村佐和。
振り返らない、佐伯奈々子。
ぎらつく太陽が、癒えない傷跡を容赦なく焦がす。禁断の夏が三人の青い残像を溶かしてゆく…
耳を劈く蝉の鳴き声。冷たい偏見に満ちた教室。何かを予感させるような曇天の空。
歩み寄ろうとする、春日高男。
頑なに心を閉ざした、仲村佐和。
無関係となった、佐伯奈々子。
禁断の領域へと足を踏み入れた彼らを青の焔が断罪する…
心の闇を映したかのような部屋。扉に走り書きされた、拒絶の証。
春日高男は、救いたいと願って、手を差し伸べる。
ノートの中に記された仲村佐和の叫びは未だ止まず。
誰の代わりにもなれない佐伯奈々子は痛みに涙する。
禁断の青い春を彩る一輪の華が 焼野原のなかで、咲く…