新感覚音楽朗読劇クロスロード日記
いやあ、凄かった、おもしろかった、重かった(衣装が。)
9月22日・23日
新感覚音楽朗読劇クロスロード、無事終了しました。

舞台は19世紀イタリア
バッハやシューベルトやモーツアルトなんて名前は誰もが知っているけれど
「ニコロ・パガニーニ」という名前を知っている人はそう多くはないかと…。
もちろん音楽史やヴァイオリンを学んだ方々以外で…。

何しろ素行が悪く、女遊びも激しく、
その時代、最も必要とされた教会での演奏を断り、あげくにはその教会で弾いた際、
弦が切れまくり、最後のG線1本で弾きあげた…。
そして、悪魔と契約したヴァイオリニストとして噂が立ち、亡骸はどこの教会も受け入れてくれず、ヨーロッパ中を転々とさ迷った。という逸話の持ち主。もちろん、実在の人物。
そんな行いからか、教科書に載りにくかった?ってのも一般化しなかった理由かも。

んで、
そのパガニーニさんをいっそ本当に悪魔と契約したことにしちゃって本にした藤沢文翁さんにお誘いを受け、あまりにおもしろい本だったので、出演を決めたのが4月頃だったかな。某ユニクロで買い物してたら、携帯に直電で、紙袋ひっさげながら、スケジュールの確認をしたっけなあ…。

そして、だまっていても月日は流れ、お稽古して、そして本番(←ざっくり)

その間いろいろありました。
毎度、山寺宏一氏の、6役を見事に演じ切る安定感には頼りきり。
「はじめまして」の、紫吹淳さんとは昔から「顔が似てるって言われてたんだ」と距離を縮め。なごやかに稽古は進んでいきました。

紫吹さん…なんというかあ、元宝塚、男役トップスターからは伺い知れない、腰の低さと、チャーミングさ…。終始、
「私、大丈夫ですか?」
「ご迷惑かけてませんか?」
「男役って恥ずかしくて」(どの口が言うんだよ)
とテンパリな中、決める時は決めるし、本番もまあ、そりゃあ、惚れるわなあ…な立ち振る舞い。こうやって時々ちょっと職種の違う?というか日ごろ会えない人に会うのって、とても刺激になりますね。基本スタジオワークが好きな私ですが、やはり出ていかないと会えない、見られない、体験できない事に満ちているのね。

そして
この作品の柱のヴァイオリンを、“カサノバ・ストリングス”の3人が担当してくれましたが…。
なんか、ヴァイオリンの概念が覆されちゃった。
髪振り乱して弾くは、立ち上がるは、激しいは、激しいは…。そして泣けるは…。
ヴァイオリンが叫んでる感じ。「生き物」だったね、あれは、完全に。

「声優」として演じるということに関わって20年以上たつけれど、私自身のここにいたい理由のようなものをあらためて痛感しました。

そもそもただの字が
そもそもただの音が
そもそもただの絵が(アニメの場合とか)
そもそもただの声が
同じ方向に同じ思いでより高く、より自由に、でも大人としてのモラルの中でしっかりと
合わさって羽を広げた時に、「ちゃんと」そこに生まれる感動や感激。
どんな宣伝も、どんなしかけも、仕込みも、有名も無名も無意味。
心をフルに使った人間に降りてくる力の伝達。これは演技に限ったことではなくて。
こだわっているけど恩着せじゃない料理とか
力を合わせて頑張る学校の合唱コンクールとか
きっと、もっと細かく砕けば、ごくごく普通の生活の中にもしっかりとあるもの。
ほっておいちゃいけないもの。でも安易に無意識に忘れがちなもの。
「それ」を忘れがちな世だからこそ、「それ」の大切さを感じたいし、伝えたいのかもしれません。
人は「一人じゃない」とか簡単に言うけど、やっぱり一人じゃ到達できない美しい景色ってあるんですよね。勝手に一人になってはいけないし(そういう時期とかあってもいいけど)常につながる必要はなくて、でも「つながる」という事の必要を改めて感じるひと時でした。

ずいぶん前に書いた自分のエッセイを読み直す機会があって、そこには
「ふってわいた誘いには乗ろう」と書いてあった。
10年前と何ら変わっていない自分の思考に笑っちゃったけど、本当にその通りだ。

新感覚音楽朗読劇公式ホームページ
http://crossroad.soundtheatre.jp/

以下写真でお届けします

左からカサノバ・ストリングス
土屋雄作(音楽監督。5弦ヴァイオリンを操り、その弾き様は圧巻。台本上のレグバ(使い魔)の声?ささやき?をヴァイオリンで担当、本当にレグバがおしゃべりしてるみたいだった)

村中俊之(チェロ担当。初日稽古に遅刻。開口一番「焼き肉おごります!」なかなかの強者。エヴァンゲリオンの、某音楽でチェロ弾いたそうです。あらあら狭い)

吉田篤貴(ヴァイオリン、ヴィオラ担当。目にもとまらぬ弦さばき、手は大丈夫なのか?指は大丈夫なのか?と心配になるほど)

紫吹淳 (ニコロ・パガニーニ役。顔の大きさ私と変わらないのに身長170センチ
お人形のようなスタイル。凄いわあ。男役をやるときと女役をやるときでは使う筋肉が全然違うとかで、「私、人より筋肉がやわらかいらしくて、変わっちゃうから、管理が大変なんです…」(本人談)筋肉の管理?凄いわあ)

林原めぐみ(パガニーニ母、パガニーニ周辺をウロウロしてちょっかいだす娘ほか。
今回、ゴスロリならぬ「リアル・ゴス」の衣装初体験…。お…重い。重すぎる。まあいくら舞台衣装とはいえリアルを再現って大変ね。最初は、まさかあ!うっそ!!これ着るのお?とか思ったけど、メイクも、今までにないくらいガンガンしたけど、なんか、衣装着て、化粧すると「その気」になっちゃうから不思議。しかし昔のドレスは甲冑並みだよ。女の戦闘服だね。)

山寺宏一(パガニーニの執事、悪魔など6役。
絶対なる安定感とおもしろさと非の打ちどころがないってこの人のことだわ。
得意の「ものまね」(ヴァイオリンとか、チューバとか、エレキギターとか、意味不明に高い音とかとかとか)も披露しながら物語の進行を勤め上げ、誰よりも気を配り、誰よりも空間の和に目を向け、ありがたい、ありがた、ありがたい人。どうやら嫁も舞台を見に来たようだけど「林原メイク中だったし、バタバタしてたし、なんか気を使わせても悪いから」と会わせてくれなかった。「そこ」は気を使うなよ!!もちろん嫁は知ってるし(コナンで一緒にもなったし、彼女時代に会ってる)今更わざわざいいけどさ。

そんな気遣い山さんとの2ショット
紫吹さんも2ショット撮ったけどボケちゃった(難しい)



ので…3ショット


サンリオさんから「キティ」のお花。
「がんばってね」とキティから応援の声が聞こえるよう…。
そう、あなたは世界中で頑張っているんだものね。




最終公演スタンディングオベーションの模様
紫吹さんの投げキッスが飛びかう!!きゃああああ。
なんだか、どさくさに山寺さんも投げキッス。きゃああああ。
紫吹さんが投げた投げキッスを空間キャッチで私は食べてみた。きゃああああ。
いいのか?

そして…









夢がなくてすみません
あまりの衣装の重さに…。
朗読劇だから基本動けない、手袋してページをめくる…
という、日常からかけはなれた拘束に、リハーサルから背中と肩がバリンバリンに。
見かねてメイクさんがずーっとほぐしてくれました。ああ感謝。
自前のマッサージ機を楽屋に持ち込んで、ホットパックも持ち込んで、
休憩中はひたすら、トントン…(涙)おばあちゃんの気持ち。


とどめの悪乗り


スタチャの矢田ちゃんiPhoneによる、加工その1
加工スゲー


加工その2
「またのお越しをお待ち申しあげております」


ちゃんちゃん