放送開始が待ち遠しい、忍者アクションコメディ『ひまわりっ!』。その魅力や見どころについて、監督の影山楙倫さんと、シリーズ構成の池田眞美子さんにお話をうかがいました!
 
――この企画に出会ったときの印象はどのようなものでしたか?
影山: 自分は、企画とキャラクターのイラストが上がっている段階から参加したんです。これまでにも、くの一を扱う作品はいくつかやってきたんですが、全部シリアスなものでした。だから、今回はシリアスじゃない方がいいなぁと。明るくかわいく、キャラクターの魅力を生かす形で。
池田: 私も影山さんと同じくらいの時期から参加したんですが、キャラクター原案のokamaさんのイメージイラストを見たときに、これはすごいと思いましたね。力のある絵だ、と。ストーリーを作るに際しては、脚本に合わせて設定の細部を変更してもいいとのことだったので、すごく自由な立場から参加することができました。
――ズバリ、『ひまわりっ!』の見所はどこでしょう?
影山: 先ほど言った通りで、楽しく、コミカルに。忍者アクションがメインというよりも、忍者というものを「主人のような、大切な何かを守るための存在」という、精神的なものと捉えているんですよ。そういった意味合いでの、忍者の使命や宿命というものは、物語の中でしっかり描いていきたいですね。
池田: 最初に話し合ったんです。「なぜ今忍者なのか」や「忍者とは、くの一とは何か?」ということを。主のために命を捨てるという忍者の宿命は、忍者を扱うのなら描いていきたい。でも、死と隣り合わせ、常に周りの誰かが死んでいく、というような話になると、この作品の趣旨とは少し違うかなぁと。だから、生を大切にする、誰かを守ることで、逆説的に死の厳しさを出すことができるんじゃないかと、考えました。
――どのようなストーリーの作品になるのでしょうか?
影山: くの一の学校に新任教師が赴任してきて、そこから始まる珍騒動……って説明になってないか(笑)。ひまわりを中心とした女の子たちのアレやコレや、という感じですね。「この忍術を覚えた! 成長した!!」というだけではなく、とにかくにぎやかで楽しい作品にしていきます。この作品は、隔絶された世界が舞台なんです。物語は忍者の里で展開していくんですけど、それが外にさらされたときにどうなってしまうんだろう、というテーマがあるんです。そこに向けて積み重なっていく、それぞれのキャラの気持ち、想い。そういうものを見て欲しいですね。
――では次にキャラクターについてですが、どういった魅力を持った、どんなキャラクターが登場するのですか?
影山: 見てもらえれば分かります、というのは、マズいですかね(笑)。どのキャラも、見た目で受ける印象通りにはおさまらない、というのが魅力でしょうか。主人公のひまわりにしても、ただの元気印の女の子じゃないし、毒物を扱うしきみ、動物使いのゆすらなども、それぞれが得意とする技能や、そこから連想される性格だけじゃ説明しきれません。……アニメには、いくつかの典型的なキャラクターのパターンってあるじゃないですか。今回は、そこからは、かなり外れたキャラクターが多いです。良い意味で、視聴者を裏切ることができるんじゃないでしょうか。
池田: 記号的なキャラになってない、というのは確かですよね。okamaさんの絵に、私と影山さんでキャラ付けもしましたし。
影山: 本当に、力量のあるイラストレーターさんって偉大だと思いました。この作品では、特にそのことを感じました。どれだけ言葉を並べても説明できないことが、たった一枚の絵で見せられてしまうわけですから。okamaさんの絵は、一枚でキャラクターを把握させる力と、そこから想像力を広げさせてくれるだけの力があるんです。だから、キャラクターを煮詰める段階では、完全にokamaさんの術中にはまってましたね。キャラクターを解釈すればするほど、okamaさんのイメージ通りに仕上がってしまうという。
池田: 自分としては、キャラの性格付けは面白い作業でしたね。ひまわりはokamaさんのイラストの時点では、もう少しおとなしい娘だったんですよ。それを私が活発な女の子にして、それを受けてokamaさんがまたイラストを上げてくれて、そのイラストからさらに想像力が広がって。いや、本当に面白い作業でした。
――では、他の作品に比べてスムーズに第1話の脚本が書けた、という感じですか?
池田: いえ、苦労しましたよ、やっぱり。周りのキャラクターが個性豊かすぎて、ひまわりの描き方には悩みましたね。ひまわりは、バラエティ豊かなキャラの中で、比較的普通な、元気な女の子なんです。でも、ただ普通の女の子だと、他のキャラに埋もれてしまう。だから、どうすればひまわりが普通の女の子として目立てるか、というのはかなり考えました。
影山: 僕としては、脚本を読んだ時点でキャラクターたちが話している様子が目に浮かぶようで、池田さんにお任せしてよかった、というところでしたね。『ひまわりっ!』の世界やokamaさんの絵をきっちりと生かしつつ、今後の広がりを予感させるような、完成された第1話になっているというか。だから、それを元にアニメを作っていく立場としては、すごく読みやすい脚本でしたよ。
――最後になりますが、この作品で目指していることはありますか?
影山: 自分が見たいアニメーションを作りたいですね。自分に正直に作りたい、と言いますか。キャラたちが勝手に動き出してしまうときに、それをこっちの都合でねじ伏せてしまわないで、キャラに正直に動いてもらいたい。やるだけのことをやった、という作品にしていきたいです。
池田: 自分はそれぞれのキャラクターが好きで、キャラクターに生き生きと動いて欲しい、ということですね。ストーリーの流れやテーマは当然意識しますけど、女の子達が元気に、可愛く動いてくれることが一番。あとは……ただひたすら脚本を書くだけです。魅力的な脚本になれば、それが『ひまわりっ!』ならではの魅力になると信じて。