絵本作家を目指している白鳥隆士は東京にあるデザイン専門学校に通うために、母親の従姉妹が営んでいるアパートへやってきた。
アパートの名は「鳴滝荘」、都会には似合わない平屋一階建ての古風な建物だ。管理人をしているのは、青華短大付属高校に通っている高校2年生の蒼葉梢。隆士のはとこにあたり、隆士とは10年以上も昔に会ったことがあるらしい。
鳴滝荘には5人(+1匹?)の住人いた。1号室には梢の大親友、茶ノ畑珠実が。3号室にはマイペースなお姉さん、桃乃恵が。5号室には母親の黒崎沙夜子と一緒に住む中学一年生の黒崎朝美が。そして、6号室には腕人形のジョニーと住む(!?)灰原由起夫が、それぞれ暮らしていたのだ。
住人たちはみな個性的で、ひとクセもふたクセもある強者揃い。だけど、本当の強者は梢だったのである。彼女は何かでショックなど受けると別キャラに『変身』してしまう秘密の持ち主。そんなこととは露知らず夢を実現させるために鳴滝荘にやってきた隆士。
いったいどんな生活が、彼の今後に待ち受けているのだろうか?
#1話~#5話
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#6話~#10話
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#11話~#15話
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#16話~#20話
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#21話~#25話 |
#26話
脚本:山田靖智
絵コンテ:長井龍雪
総作監:藤井昌宏
演出:長井龍雪
作監:大木良一
隆士が交通事故にあったとの連絡を受けて倒れた梢。目を覚ましたときには棗に変身していた。その後、いつものように梢自身に戻ると思いきや、また違うキャラに変身。何日たっても“梢”に戻る様子はなく、くるくると変身する梢に付き合って、隆士は学校を休んでいた。そして、隆士が早紀と一緒に庭を掃除中している最中に、ショック治療とばかり恵がおもちゃの蝶を見せて気を失わせるが、次に現れたのは棗だった。なすすべもなく時間だけが過ぎていく。そんななか、庭で釣りをしている灰原から隆士は、梢が両親を事故で亡くした辛さを“変身”することで乗り越えようとしていたものの、また今回、大切な人を失うのではないかという怖さから、再び自分の殻に閉じこもってしまったのはと。それだけ自分が梢にとって大きな存在だったと聞かされた隆士は、梢のためにできることを探し始める。一方、梢のことを心から心配する珠実は部屋に閉じこもり、ネットなどを使って梢をもとに戻る方法を必死になって探っていた。そして、珠実は、今回の原因になった隆士に話があると詰めより、梢を救う方法を探し出すために自分の人生を捧げる覚悟があるのかと問いつめるのだった。
脚本:滝 晃一
絵コンテ:上原秀明
総作監:藤井昌宏
演出:上原秀明
作監:丸山隆
灰原のもとに新人小説家の登竜門といわれる賞の最終候補に残ったとの連絡が。時を同じく、恵のもとには海外で暮らす彼から、成功しそうだからお前もこっちにこないかというエアメールが届いた。なんだか慌ただしい様子の鳴滝荘。そんななか、隆士も突然バイトをはじめると言い出す。梢から八百長でお手伝いを募集していることを聞き、すぐさま店へ。バイトが決まり、八百長の親父からも「しっかり頼むよ!」と言われるが、不慣れな隆士は、照れてしまってなかなか声が出せない。その後も悪戦苦闘しながら、なんとか仕事をこなしていく。一方、鳴滝荘では隆士がバイトをはじめた理由を探ろうと、恵の提案で「第1回鳴滝荘ガサ入れ大会」が開催されたが、突入したもののすぐさま廊下へ出てきてしまった。部屋に貼られたカレンダーの“12月22日”に赤丸がしてあり、そこには「梢ちゃんの誕生日」とのメモが添えられていた。あまりのわかりやすさに、住人たちは「つまらない」とひとこと。隆士は、梢の誕生日プレゼントをあげるためにバイトをはじめたのだ。その日の晩、隆士の帰りを待ちながら梢がおにぎりを作っていると、1本の電話が! 隆士が交通事故にあったとの連絡が入ったのだ。
脚本:佐藤勝一
絵コンテ:転房圭二
総作監:藤井昌宏
演出:上田繁
作監:佐野英敏
秋晴れのある日。鳴滝荘の住人たちは、紅葉狩りへ出かけた。梢の手にはバスケット、黒崎親子は段ボールを抱え、隆士は恵に頼まれて巨大なトランクを持っていくことに。駅に着いた住人たちは、恵から切符を受け取るが、その中に一枚だけ、おもちゃのチケットを忍ばせていたが、そのチケットを引いたのは、やはり隆士であった。その後、電車が発車してしまうと急いで乗り込んだが、黒崎親子だけ乗り遅れたりと、いろいろなことがありながらなんとか無事目的地へ到着。美しく色づいた木々に、住人たちは思わず感嘆の声を上げる。公園はとても広く、木々が生い茂り、人工池などもあった。テーブルやベンチなどが点在する場所まで移動すると、すぐさま宴会がスタート!隆士が持ってきた巨大なトランクには、たくさんのビールが詰め込まれていた。ビール片手に梢の作ったお弁当をつまみながら、思い思いに景色を楽しむ住人たち。その後、恵の提案により鳴滝荘恒例の「鬼ごっこ」がはじまった。もちろん鬼も恒例の隆士から!逃げ足の早い住人たちは、なかなか捕まらない。そこで隆士は遊歩道脇の茂みに隠れて、誰かがくることを待つことに。そこに現れたのはなんと……!
脚本:あみやまさはる
絵コンテ:鈴木洋平
総作監:藤井昌宏
演出:鈴木洋平
作監:石田啓一 柴田志郎
水無月家に連れてこられた沙夜子と朝美。この家に来て以来、別々の部屋に通された朝美は、タチバナに「お母さん、知りませんか?」と沙夜子の居場所を聞く。しかし、丑三から2人を会わすことは禁止されているタチバナは、嘘をついて誤魔化す。その後もサクラに沙夜子の居場所を聞くが、彼女もまたタチバナに2人を会わせてはいけないと命じられ、適当なことをいってその場のお茶を濁す。それから、朝美は学校へ行くのに、高級車で送られる。そんな朝美の姿にさっちゃんとみっちゃんは、大驚き。家では、丑三が沙夜子に再婚話を勧め、朝美を近所の夫婦の元へ里子に出す考えがあることを告げていた。その頃、鳴滝荘の住人たちは、思い思いに沙夜子たちのことを考えていた。商店街で偶然会った梢と隆士は、買い物中、無意識のうちに沙夜子たちの分まで品物を買おうとしていたことを話し、改めて2人の存在がどんなに大事であったかを話す。朝美は、帰宅後も母のことが気になり、居場所を聞くが誰も教えてくれない。しかたなく自分の足で沙夜子を捜し出すことに。あちこち歩き回っているうちに、まひると出会い……。
脚本:あみやまさはる
絵コンテ:長井龍雪
総作監:藤井昌宏
演出:長井龍雪
作監:佐野英敏
内職で忙しい黒崎親子をのぞき、庭でみんなが恒例の焼き芋大会を楽しんでいるとき、まひるがやってきた。ジュースを取りに朝美が台所へいっている隙に、沙夜子を食べ物を使って部屋から誘い出し、大きな網で捕まえていく。ただならぬ雰囲気を感じた住人たちが、騒ぎだしたところに、朝美も現れたが、彼女もまた沙夜子同様捕らえられてしまう。そのまま2人を連れていこうとするまひるに住人たちは状況説明を求めるが、まひるは「私の家そこ。文句あるなら、そこへ来る」との言葉と1枚の地図を残し、その場から立ち去ってしまう。車に乗せられ、2人が連れてこられた先は、お城のような大きな家。驚く朝美に対し、沙夜子は「あの頃のままね……」とつぶやいた。そこはまひるの家であり、沙夜子の実家でもあったのだ。久々に顔を合わせた沙夜子に怒り爆発の父・丑三に対し、母・夕は優しく迎え入れる。その後2人はそれぞれの部屋に通され、手厚いもてなしを受けることに。その頃、丑三はタチバナより沙夜子のこれまでの生活や朝美との関係の報告を受けていた。朝美が沙夜子と駆け落ちした黒崎の子ではなく、養護施設から引き取った子と知り、沙夜子と朝美の距離を取らせた方がいいと判断。そして、「しばらく2人を会わせないようにしておけ」と指示をだすのであった。
(C)小島あきら/スクウェアエニックス・まほらば製作委員会