昔の勇治の、本当の姿に気付いた香月。彼女は自分の思い違いを恥じ、後悔の念と罪悪感を重ねていた。しかし、それと同時に決心もしていた。勇治に謝ることが第一だと。とはいえ、もう残り時間は少ない。なぜならば、勇治とまりえが突然、引っ越しをすることになったからだ。世界中を飛び回っている父親を理解していたため、神楽兄妹にしてみればあまり驚くことでもない。だが香月にとっては、偶然の再会から突然の別れという状況に、早々に移ってしまったことは大きな衝撃だった。いつも近くに、いつも隣にいてくれるはずの存在が突然見えなくなってしまう。そうなる前に、勇治に謝らなくては。
しかし、いつもの調子が災いしてか、香月は勇治に謝罪の言葉を伝えられなかった。そして勇治の発言も、香月に勘違いをさせてしまうようなものだった。最後まですれ違いが続く2人。それを修正しようとしたのはちはやだった。「勇治に嫌われた」という思いでいっぱいの香月に対し、力強い言葉で励ますちはや。その言葉を受けて、香月は今まで出せなかった「答え」を出すことを決める。
そしていよいよ、勇治とまりえが引っ越す日になった。香月や初音はもちろん、ちはややニーナ、小五郎に町田、芹沢も見送りに来た。賑やかになる一方で、香月は勇治になかなか言葉を伝えられない。そこで初音やちはやが気を利かせ、勇治と香月の2人きりになる状況をつくってくれた。これが本当に最後のチャンス。香月は、勇治に謝り始める。しかしそれは「答え」ではない。その「答え」を、10年前に伝えられなかった本当の気持ちを、香月は勇治に伝えられるのか。それに対し、勇治のほうから出た「答え」とは……。
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