こんにちは、警備バイトの上坂すみれです！




警備バイトの役割は、不審な人物の侵入を防いで秩序を守ること。

長年培ったこの観察眼さえあれば、どんな些細なアヤシイところも見逃しませんよ！





ムッ！ 不審な人物を発見！




「ちょっとお待ちください！」




「はい？」




「ここから先は関係者エリアです！ あなたは関係者ですか？」




「そうですけど……」




「そんなの、口ではなんとでも言えます！ 証拠はありますか？」




「社員証なら持ってますけど……」




「そんなのいくらでも偽造できます！」





「え、じゃあどうしろって言うんですか……？」





「お？ この上坂警備員に口ごたえか？ ついにボロを出しましたね」




「帰（けえ）んなッッ！！！」






「……今日も悪質な犯罪を未然に防ぐことができましたね……むっ！」





怪しい男、発見！！





「ここから先は関係者エリアです！ あなたは関係者ですか？」




「関係者もなにも、私はここの社長だぞ！」




「社長……？ それにしては社長の風格がありませんねえ。ニセモノなんじゃないですか？ うん、ニセモノです。近くで見たら肌の質感がゴムっぽいし、特殊メイクに違いありません！」





「帰（けえ）れッッ！！！」





「ふぅ……まったく油断できませんね……ん？ 次は誰ですか？」





「鹿です」





「どう見ても鹿ですね」





「通ってよしッッ！！！」





「次は誰ですか？」





「シャチです」





「通ってよしッッ！！！」





「……おや？ 次にやってきたのは…？」




「上坂すみれです」





「上坂すみれ！？ そんなバカな……！」





「ここを通してください！」





「み、認めません！ こんな怪しい人物を通すわけにはいきません！」





「上坂すみれが怪しい……？ ということは、そう言うあなた自身も怪しいということになってしまいますよ！ 怪しい人物が警備をすることは許されないはず！」





「そ、そんな……！ でも通すわけにはいかないし……こうなったら、最後の手段！」


















（つづく）

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