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●岩崎良明(監督)
アニメーション演出家。監督作品は『EL-HAZARD 2 The Magnificent World』、『ラブひな』、『陸上防衛隊まおちゃん』、『瓶詰妖精』。その他の参加作品は『スレイヤーズ』(絵コンテ・演出)、『天地無用!』(絵コンテ・演出)、『地球防衛企業 ダイ・ガード』(絵コンテ・演出)など。 |
―― 『せんせいのお時間』に参加された経緯からお願いします。
岩崎 この作品の前に『瓶詰妖精』という作品の監督をしていまして。その時にプロデューサーの大澤(Big大澤)さんが僕の仕事を気に入ってくださったみたいで、「また一緒にやりたい企画があるんだけど」と、お話をいただいたんです。それがこの『せんせいのお時間』だったんですよ。
―― 原作の印象はいかがでしたか。
岩崎 読みはじめた時は、ちょっととっつきにくいかなと思ったんです。でも、キャラクターや世界観に自分が馴染めてからは、とても楽しく読ませていただきました。キャラが皆ユニークですよね。
―― 『せんせいのお時間』で、ご自身の学園生活と重なるところはありますか。
岩崎 いやあ、僕の高校時代はここまで生徒の仲はよくなかったですね
(笑)。男も女も、このくらいぶっちゃけてお互い仲よくなれればよかったのになあ、と思います。本当にいいクラスですよね。
―― 原作が4コマ漫画だということで、演出上、特に意識されていることはありますか。
岩崎 やはり「テンポよく」ということは常に意識してます。例えば本来ならシーンを積み重ねて見せていくようなところを、テロップ1枚で飛ばしてみせたり。そこで4コマ漫画っぽさが出ればいいなと思ってやっています。それと4コマ漫画だとやはりオチが重要ですよね。そこはなるべく観ている人が「ここはこんなオチだろうな」と気づく前に、オチを見せていくようにしてるんです。そのうえで、さらにオチで踊るというか、遊びを入れていくような演出を心がけていますね。
―― お気に入りのキャラクターというか、動かしやすいキャラクターはいますか。
岩崎 原作を読んだときには、中山がアニメキャラとしては使いやすそうでいいかなと思っていたんです。でも実際にアニメとして動かしはじめてからは、小林が好きになりましたね。喜怒哀楽が特にはっきりしているので、動かしていて面白いんですよ。それに個性も豊富だから、オチとしても使えるし、ストーリーの進行役にしてもいいし、いろんな場面で使えるので重宝してますね。
―― アニメ化に際して、監督が一番こだわったところを教えてください。
岩崎 どうしたらより漫画っぽいテイストのアニメになるかという点ですね。そのため、キャラクターや美術はもちろん、スクリーントーンを使ったような平面的な背景画とか、テロップや描き文字などの漫画的な手法を含め、画的な表現に関しては原作のテイストをすべてそのままいかしているつもりです。そうすることで今までのアニメとはちょっと違った、漫画風で、グラフィックアートっぽい画が作れるんじゃないかと狙ってるんです。「原作そのまま」というと簡単そうに聞こえるかもしれませんが、これが結構大変なんですよね(苦笑)。
―― 原作のボーイズラブっぽいところなども、かなり大胆に取り入れていますよね。
岩崎 そうですね。本当はもう少し過激でもいいかなと思っているんです。現実の学園生活で高校生が話しているくらいのセリフは言わせたいんですけどね。TVでオンエアされるものですから、多少、様子を見ながらやっていますよ。
―― 作品にかける監督の意気込みを。
岩崎 『せんせいのお時間』に限った話ではないんですが、新しい作品に取りかかるときには、常に今までにない革新的なものを作るつもりで取り組んでいます。特に自分が今まで作ってきた作品の焼き直しにはならないように気をつけてますね。『ラブひな』以降、毎度テイストの違う、新しさのある作品を作ろうと努めているんです。僕としては作品を観ていただいた皆さんに「こんなの今まで観たことない」と言っていただけるのが一番嬉しいですね。
―― では最後に、視聴者の皆さんに何かメッセージをお願いします。
岩崎 皆さんが現在経験している、あるいは過去に経験した学園生活を思いだして、まったりと観ていただければいいなと思います。
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