●獅子丸役/波岡一喜

――今回の出演決定までの経緯をお聞かせください。
波岡 大根(仁)監督からオーディションに呼んでいただいたんです。「会いたいから遊びに来て」って(笑)。だからホントにそれほど緊張もせずに行って、遊んで帰ってきただけみたいな感じでした。わりと気楽に受けたら決まってしまったという……。
――獅子丸役が決まったときの率直なお気持ちは?
波岡 「マジっすか?」「僕でいいんスか?」という(笑)。うれしかったんですけど、時間が経つにつれて、深夜とはいえ連続ドラマの主役をやらせていただくことに多少の重圧を感じるようになりました。もうクランク・インから一ヶ月経ちますけど、今でも正直、プレッシャーはありますよ。だから、ふだん以上にいろいろ考えながらやってますね。いつもは自分の役をどういうふうにするか、ということを主に考えているんですけど、今回は自分だけじゃなく、全体が面白くなるように何かが出来ないかなと。ただ、その気持ちは、最初は空回ってましたね(苦笑)。インして一週間ぐらい経ってからです、慣れてきたのは。監督から「もっと好きにやっていいよ」と言っていただけて、放送出来るかどうか分からんぐらいのアドリブを入れるようになりました(笑)。ちょっと心配なのは、放送が始まるころにはほとんど撮影が終わっていることですね。本当は完成した作品を観ながら「ここはもっと抑えよう」とか「ここはもっとハジけたほうが」と微調整していきたいんですけど、今はどのベクトルに対してもマックスでやってますから(笑)。緩急で言ったら全部「急」ばっかり。常に全開。気がついたときにはもう遅いかもしれませんけど(笑)、とにかく全力で、やれることをとことんやってます。
――アドリブの話が出ましたけど、共演者の皆さんにもつわものが揃っていますね。
波岡 完全に台本通りやるということはほとんどないですね。僕が入れるアドリブもありますけど、監督が現場で変えていくことのほうが多いんです。完全に現場勝負ですよ。テンション上げて、現場で周りが笑わないようじゃ話にならない。極端なときは、台詞がA4の紙で1枚分、増えたりしますからね。そんな状況のうえに、共演者がすごい人ばかりなんですよ。石橋蓮司さん、遠藤憲一さん、バナナマンの設楽(統)さん、ハリセンボンのおふたり……。スタッフからは「今日も食われてたぞ、獅子丸」とよく言われます。先日、遠藤さんとの共演シーンがあったんですが、アドリブの内容も、間も、声も全部すごいですね。「これだけ(自分と)差があるのか」と実感しました。勉強になりましたね。ただ、「主役が食われてる」ことに関しては、そんなに気にしてないんですよ。そういう(主役が食われる)ドラマほど面白いっていいますから。僕としては、芯がブレないようにやるだけですね。勿論、「主役がいい」と言われたら、悪い気はしませんけどね。いや、むしろどんどん言ってほしいですけど(笑)。オンエアが始まったら昔の作品と比較されたり、賛否両論いろいろ出るでしょうけど、極力気にせずに、この現場をどれだけ楽しんで、どれだけ自分が成長出来るか、やれる限り、やってみたいと思います。