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いぬかみっ!
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「いぬかみっ!」原作者 有沢まみず先生がホームページオリジナルの小説を書き下ろしてくれました!!
小説やアニメでも語られていない、あっと驚く内容が満載!!
ここでしか読めない、オリジナル小説!!
もう、読まずにはいられない!!

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啓太とせんだんの一日

 その日、非常に珍しいことに啓太の家にはせんだんと啓太しかいなかった。啓太はベッドの上でやや困惑した顔をし、せんだんは床の上で丁寧にお辞儀をしていた。
「これは粗品ですが、いつもともはねがご迷惑をおかけしているお詫びの品です」
 そう言ってせんだんはつうっと黒塗りの重箱を差し出した。
 啓太はそれを受け取りながら、
「いや、あのな」
 困ったように、
「ほんとそんな気にしなくて良いから」
 噛んで含めるように言い聞かせる。
「俺も楽しく遊んでいるしさ、全然、迷惑なんかじゃないって」
「そう言っていただけるお心遣い、ありがとうございます」
 せんだんは笑う。真っ直ぐにベッドの上の啓太を見上げ、
「では、どうかともはねがお世話になっている御礼と言うことでお受け取りくださいませ。本当に大した物ではございませんので気持ちばかりのものなのです」
 啓太も苦笑しながらそれを受け取った。
「わっかったよ。ほんとはけもそうだけど、おまえらって義理堅いよな」
 お重の蓋をそっと開けてみる。
 中には美味しそうな料理がぎっしりと詰まっていた。大正海老の唐揚げ、白アスパラのサラダ、栗きんとん、牛肉のスペアリブ、アワビの煮物などなど。
 彩りにも工夫が加えられ、上品な盛りつけがされている。
「ほえ〜。すげえ、美味しそうな料理だな。これなでしこちゃんが」
 作ったの?
 と、言いかけ啓太は思い直した。なでしこの手料理は何度か食べたことがあるが、それとはやや違っていた。
 なんというか、もっと華やかな印象がある。
 しかももっと高級食材をふんだんに使っていた。
「もしかして」
 啓太はせんだんを見遣った。
「これ、お前が作ったのか?」
 その問いにせんだんは微笑んだ。
「はい。仲間がお世話になってる御礼ですわ。長である私自ら作らないと失礼に当たります。啓太様、確かになでしこは私たちの中で一番、料理上手ですが、ともはねを除いてみんなそれなりに料理は作れるのですわよ」
「ほう」
「私のもそうお口に合わないことはないと思います」
「いやいや」
 啓太は手を振る。
「いやいやいや。ほんと美味そうだよ! さんきゅ〜なせんだん」
 せんだんは少し頬を赤らめた。
「では、お夕食の時にでもようこと召し上がってくださいね」
 そう言ってせんだんはふと思い出したように周囲を見回した。
「そういえばようこはどうしたのですか?」
 その問いに重箱の蓋を又閉め、ちゃぶ台の上に置いていた啓太が声を上げた。
「あ、そ〜そ〜。それなんだけどさ、訳が分からなくて。ほら」
 そう言って彼はルーズリーフの切れ端をせんだんに見せた。
「俺が帰ったらこんな置き手紙を残していなくなってたんだ」
 そこには殴り書きで、
『のみちゅう!』
 と、辛うじて判読できる文字で書いてある。
「どういう意味なんだろうな、これ?」
 それを読んでせんだんが口元に手を当て、幾度かその言葉をぶつぶっと口にする。
「のみちゅう……のみちゅう、のみちゅう、い。ノミに注意?」
 そのとたん彼女が電撃のように立ち上がって、背筋を伸ばした。
「い!」
 啓太、びっくりしている。
「や」
 もぞもぞと身体をくねらせ、やや官能的に、
「や! あ!」
 声を上げる。
「ど、どうした? せんだん?」
 せんだんは両手で身体を抱え込み、しゃがみ込む。
「あ、あう」
 ふるふると小刻みに震えている。
「くあ!」
 また白い喉を仰け反らして声を上げた。唖然としていた啓太が急にはっとした顔になって、
「もしかしてノミか?!」
 以前、ようこは猫と遊んでいてノミを家に持ち込んだことがあった。それをまたやってしまったのかもしれない。
「は、はい」
 苦しそうな、真っ赤な顔で答えるせんだん。表情を歪め、服の布地を順番に抑えていく。
「ど、どうやら……かなり」
 息も絶え絶えに、
「大物で」
 スカートの裾を抑え、内股をしめる。
「う」
 どうやら上に上がってきているようだ。
 啓太の判断は速かった。
「せんだん。ちょっと我慢しろよ!」
「あ、何を!」
 せんだんの背中から手を突っ込む。
「な、なにを! 啓太様、なにを!」
 じたばた暴れるせんだん。
「ええい! あとでいくらでもぶん殴られてやるから! 今は大人しくしろ!」
 啓太はそう言って手を動かす。手をせんだんの胸元の方に持って行く。
「や! ひゃ!」
 あまりの自体に怒ることも忘れ、ただ悲鳴を上げるせんだん。
「や」
 関係ないところをちょっと刺激され、眉をひそめ、
「そ、そこは違っ!」
「こ、この!」
 とうとう啓太が捕まえた。ゆっくりと手を引き抜く啓太。
「はあ〜」
 そのままへたんとへたり込み、放心するせんだん。啓太はぷちっとノミを潰しておく。かなりの大物だった。
 それから、
「い、いや、悪かったな。断りなくやって」
 ようやく自分がしでかしたことに気がつき、ばつが悪そうにせんだんを見遣った。いくら非常時とはいえ、乙女の服に手を突っ込むのはさすがに反則だろう。
 だが、せんだんは、
「いえ」
 と、答え、羞恥に目元を染め、涙目で、
「きっと薫様でも」
 それから彼女は首を振り、
「ううう」
 気丈に泣き笑いの表情になり、
「助かりました。どうぞお気になさらないでくださいまし。私も忘れますので」
 礼を述べた。啓太はちょっとどぎまぎ。


 その後、せんだんはよろよろと帰って行き、後日、さらに上等な料理がまた御礼として届けられた。
 でも、せんだんも啓太もこのことは絶対、口外しなかった。
 啓太はようこが怖かったから。
 せんだんは外聞上。
 代わりに啓太の家にのみ取り剤が死ぬほどぶちまけられたのはまた別の話。

 そんないつも通りのある日。
ようこと啓太の一日なでしこと啓太の一日ともはねと啓太の一日啓太とせんだんの一日

啓太とたゆねの一日啓太といぐさの一日啓太とごきょうやの一日啓太とフラノの一日

啓太とてんそうの一日啓太といまり&さよかの一日