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いぬかみっ!
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「いぬかみっ!」原作者 有沢まみず先生がホームページオリジナルの小説を書き下ろしてくれました!!
小説やアニメでも語られていない、あっと驚く内容が満載!!
ここでしか読めない、オリジナル小説!!
もう、読まずにはいられない!!

いぬかみっ! 小説第1巻から10巻まで大好評発売中!! 続々重版決定!!

啓太とごきょうやの一日

 その日、川平啓太はごきょうやとお酒を呑んでいた。
  最初啓太は一人で日本酒を飲もうとしていたのだが、たまたま所用で訪れたごきょうやがそれを見咎め、
「啓太様、未成年の飲酒は青少年の成長を著しく阻害するもので道徳的にも医学的にもあまり感心できません」
  とストップをかけたのだ。それに対して啓太がにやっと笑って、
「わ〜ったよ。俺は呑まない。だけど、お前は飲めるだろう? もう大人なんだから。折角これ霊退治した酒屋の親父の好意で貰ったんだし捨てるのは申し訳ないからお前が呑んでくれると俺すごく助かるんだけどな〜」
「え? で、ですが」
「だいじょ〜ぶだって。もう夜だし、ほんと呑めるだけ呑んでくれればいいから」
  そう勧めると彼女はしぶしぶながらも日本酒を口にし始めた。
  啓太はにやりと笑った。
  自分がアルコールを飲むより普段クールすぎるくらいクールなごきょうやを酔わせて乱したほうが面白いと思ったのだ。
  自分は炭酸飲料を飲みながらとくとくとごきょうやにお酌してやった。
  そのたびごきょうやは、
「あ、いや、もうその辺で」
  とか、
「恐縮です、啓太様」
  丁寧に一礼し、左手で右手の袂を押さえる見事な作法でくいっと杯を干した。一片の乱れもない。色っぽいというより鮮やかな作法。啓太はごきょうやの酒豪ぶりに密かに舌を巻いていた。
  先ほどからお銚子三本以上一人で空けているが微塵も酔っている気配はない。
  ほんのわずか目の下辺りがピンク色に染まっているくらいである。
  あとは冷静な態度も落ち着いた物腰も全く変わっていない。
「啓太様。それでようことは仲良くやっていますか?」
  怜悧なはけや凛としたせんだんとはまた少し違う年長者の微笑みを浮かべごきょうやはそんなことを尋ねる。啓太は、
「ま〜、ま〜かな」
  と、答えた。
「そうですか」
  こくりと頷くごきょうや。今度は手酌で徳利から杯に日本酒を注いでいる。
  あれえ〜?
  こいつ、酔わないのかな?
  とか啓太が思っているとごきょうやは、
「ふう。しかし、この部屋は少し暑いですね」
  そう言って普段ずっと着ている白衣を脱いだ。その動作の過程で下に着ていたニットのサマーセーターがぐいっと胸の形に押しあがる。啓太はにやっと内心ほくそ笑んでいた。
  やっと少し酔ってきた。
「ん? どうかしましたか? 啓太様?」
「あ、いやいや、なんでもないよ。ほら、のんでのんで」
  さらにお酒を勧める啓太。
  その頃にはごきょうやも全く断らなくなってきた。

 数分後。
「そうですね。お酒ばかりでは味気ないし栄養も偏りますので」
  そうごきょうやは呟いて台所に立った。
「啓太様。少し冷蔵庫の中のモノを拝借しますよ」
  そう言って彼女は手早く焼き飯とナスのシギ焼きとあんかけ豆腐などを作り始める。かなり小柄な彼女は時折爪先立ちになりながらてきぱきと台所仕事をこなしていた。
  その様子を見て啓太がびっくりしたような声を上げていた。
「へえ、お前、料理作れるんだな」
  その言葉にごきょうやがふふっと笑った。
「失礼ですね。啓太様。なでしこほどの腕前ではありませんが私とて犬神。一通りの家事は心得ておりますよ」
  そう言ってちゃぶ台に戻ってくると料理を並べ始めた。

 数十分後。
  不穏になってきたのは啓太がごきょうやの手料理を食べ、
「へえ〜。なんかこれ親父の味付けに似てるな!」
  と、感嘆の声を漏らした頃から始まった。
「うちはさ、主に親父が家事やってたんだけどさ、親父の作る料理そっくりだよ、これ」
  かなり美味い。啓太ははぐはぐと焼き飯を頬張る。ちなみに啓太も多少調理を心得ているがその味つけの基本は父親から習ったため、ごきょうやの料理は間接的に啓太の作る料理に似ている、とも言えた。
  ごきょうやは手酌でやっていた杯を口元で止め、
「……そうですか」
  ぼんやりと宙を見た。目じりに涙が浮かんでいた。
  啓太はぎくりとした。
「ど、どうしたの? ごきょうや」
  するとごきょうやはくしゅんくしゅんと鼻をすすりながら、
「宗太郎様はずっと覚えていてくださったのですね」
「は? は?」
  啓太はあせった。だが、ごきょうやはむしろ嬉しそうに、
「お若い頃の宗太郎様に料理のイロハをお教えしたのは私なのです、啓太様」
「あ〜はあ〜」
  啓太は感心したようにそうため息をつく。改めて目の前の小柄な少女が経てきた莫大な月日の流れを実感する。ごきょうやはゆ〜らゆ〜ら揺れながら、
「宗太郎様は本当に聡明で飲み込みが早かった。お小さい頃は可愛らしかったが、長じてからは本当に凛々しくなられて私にはそれがずっと自慢だった」
「あ、あのごきょうやさん?」
「なんでしょう? 啓太様」
「少し呑みすぎではないでしょうか?」
「そんなことはありません」
  ごきょうやはひっくとしゃっくりをし、啓太から酒瓶を遠ざけるように胸元に抱え込むといやいやをした。さらに杯に注いでくいっとあおる。
「それなのに。宗太郎様のバカ。あんな家事の一つも出来ないオンナ」
「あ、あの、ごきょうやさん? それってもしかして俺の母親のこと?」
「ひっく!」
  彼女は今や胡坐をかいている。かなり据わった目で啓太を見て、
「啓太様! 啓太様は以前、私に宗太郎様の代わりをしてくださると仰ってくださいましたよね?」
「え?」
「いいましたよねえ?」
  じいいっと焦点の合っていない上目遣いで啓太を睨んでくるごきょうや。啓太は大汗をかきながら、
「は、はい、言ったと思います」
「よろしい」
  ごきょうやは「にへっ」と笑うと、
「では、宗太郎さまがしてくださったように私を撫でてください」
「へ?」
「はやく! 撫でてください! 私を撫でてください!」
「は、はい!」
  啓太は慌ててごきょうやの銀色の髪をくしゃくしゃ撫でた。気持ちよさそうに目を細めるごきょうや。まだ揺れている。
「いい感じです。でも、もっと優しく」
「こ、こう?」
「そうです。そしてもっと愛情深く」
「こ、こうでしょうか?」
「そうです。とっても啓太様っぽい……あっれ? 今、私、啓太様って……ああ、そうか。そうじゃなくって、宗太郎様……そこにいらしたのですね」
  ごきょうやはそれからむにゃむにゃと口元で呟き、啓太にもたれかかる。啓太は未だかつて経験したことのない緊張感で彼女を受け止める。スケベ一直線の啓太をして気安くセクハラさせないようななんかインセストタブーな感じ。ごきょうやはさらに啓太の腰元に手を回すと、きゅっとしがみつき、
「宗太郎さま。今度はこのごきょうやがあ〜んしますからちゃんと食べさせ……て、くだ、さいね」
  そこまで言ってごきょうやはすうっと深い寝息を立て始めた。
  啓太はどっとため息をついた。
  未だ自分にしがみついて幸せそうにしているごきょうやを見つめ、
『こりゃあ〜、やきもち焼きの母さんが共存を許すわけないよな』
  しみじみそう思うのだった。

 
ようこと啓太の一日なでしこと啓太の一日ともはねと啓太の一日啓太とせんだんの一日

啓太とたゆねの一日啓太といぐさの一日啓太とごきょうやの一日啓太とフラノの一日

啓太とてんそうの一日啓太といまり&さよかの一日