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いぬかみっ!
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「いぬかみっ!」原作者 有沢まみず先生がホームページオリジナルの小説を書き下ろしてくれました!!
小説やアニメでも語られていない、あっと驚く内容が満載!!
ここでしか読めない、オリジナル小説!!
もう、読まずにはいられない!!

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ともはねと啓太の一日

「啓太様! あうやんてぷい!」
 そう言ってともはねが元気よく部屋に入ってくる。
「う~す。あうやんてぷい」
 啓太も軽く片手を上げて挨拶を返した。ようこが気に入った『あうやんてぷい』という単語がなんとなく超ローカルな挨拶言葉として流行っていた。
「えへへ~」
 ともはねは嬉しそうにちょこちょこと近寄ってくると啓太の膝にちょこんと乗った。ついで啓太の腕と腕をまるでシートベルトのようにロックして、
「啓太様。遊びに来ました! 今日はお話してください」
 そう言って後頭部で啓太の胸をすりすりする。
「あん? お話?」
 胡座を組んでテレビを見ていた啓太はともはねを見下ろした。
「はい。なんでもいいです。あたし、今日はお話聞きたい気分なんです!」
「さよけ」
 啓太は考え込む。
「じゃあ、みみなしホウイチの話でもしようかね?」
「なんですか? ソレ」
 ともはねが興味津々で顔を上げる。啓太はちょっと不気味に笑って、
「これはとっても怖い話なんだぞ?」
「こ、怖い話ですか?」
「そうだ。止めようか?」
「や、やってください!」
 ともはねは覚悟を決めた顔で頷く。
「あたし、平気です!」
 啓太は返事の代わりにひひひと不気味に喉の奥で笑った。
「むか~し、むかし。あるところにホウイチという男がいて」
「も、もう始まってるんですか?」
「始まってます。これが琵琶法師というのをやっていたのだ」
「琵琶法師……ってなんですか?」
「琵琶を語って昔話を聞かせる職業の人だな。まあ、とにかくこのホウイチは語りが上手かったわけだ」
「ふんふん」
「その名声は広く世間に知られていた。ある夜、ホウイチの元に琵琶を聞かせてくれっていうお願いが来る。ホウイチは出かける。立派なお屋敷に沢山の人たちが集まっていた。みんな、ホウイチの琵琶と語りに喝采を送ってくれて、帰りがけには報酬もたんまり貰えた」
「ふ~ん」
「ところがその依頼は一日では終わらなかった。翌日も、また翌日もホウイチは頼まれた。沢山の人だ。みんなどこか時代がかった服装をしている。裕福そうな、でも、青白い顔をした人たち。それが毎日、毎日。ホウイチはどんどんとやつれていった」
「……ホウイチさん。病気だったんですか?」
「病気じゃなかった。ある日、旅の坊主がやってきた。坊主が言うには『あんた取り憑かれてるぞ。このままでは死んでしまう』と」
「へ?」
「その、ホウイチを呼んでいる人たち。実はこの世の人じゃなかったんだ。ホウイチが通っていた立派なお屋敷も実は墓場だった。幽霊だ。死霊だだったんだ」
「い~」
 ともはねは小さく身体を丸めて震える。啓太は語る。
「ホウイチは事実を知って怯えた。坊主にすがる。坊主が言うには『きっとまた今夜もまたやってくるだろう。だが、身体中にありがたいお経を書いておけば免れるかも知れない』」
 ともはねは小刻みに震える。啓太は淡々と、
「ホウイチは身体中にお経を書いて貰った。墨で。その晩」
「ま、また来たんですか? 幽霊さんたち」
「来た。ホウイチを呼びにやってきた。だけど、ホウイチの身体中に記されたお経のせいでホウイチの身体が見えないみたいだ。『どこだ~? ホウイチどこだ~?』辺りをうろつく声。ホウイチを探す声」
「見つかりませんように。見つかりませんように」
 と、手を組み合わせて祈るともはね。暗鬱と笑う啓太。
「ところが旅の坊主は一つだけミスをしてしまったんだ。身体の一カ所だけお経を書き忘れてしまった」
「へえ?」
「そう。それは幽霊たちにも見えた。その一カ所だけは宙に浮かんで見えた」
「ど、どこですか? どこに書き忘れてたんですか?」
「『ホウイチがどこにも見あたらない。仕方ない』」
「ねえ、啓太様! どこ? どこなんですか?」
「『代わりに』」
 啓太は言葉を句切る。数瞬の間。ともはねはごくりとつばを飲み込む。
 次の瞬間。
「『この耳を貰っていってやるううう~~~~~~~~~~~~~!』」
 啓太はそう叫びながら膝の上に乗っているともはねの耳をむんずと掴んだ。
「うひゃあああああああああああああああああ!!!!」
 奇想天外な悲鳴を上げるともはね。
 大笑いする啓太。
「もう啓太様ひどいです!」
 ぷんぷん怒るともはね。啓太の胸板をぽかぽか叩く。笑いながら詫び、なんとかともはねの機嫌を取ろうとする啓太。
 お詫びに別の楽しい話をする。

 そんないつも通りの一日。
ようこと啓太の一日なでしこと啓太の一日ともはねと啓太の一日啓太とせんだんの一日

啓太とたゆねの一日啓太といぐさの一日啓太とごきょうやの一日啓太とフラノの一日

啓太とてんそうの一日啓太といまり&さよかの一日