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いぬかみっ!
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「いぬかみっ!」原作者 有沢まみず先生がホームページオリジナルの小説を書き下ろしてくれました!!
小説やアニメでも語られていない、あっと驚く内容が満載!!
ここでしか読めない、オリジナル小説!!
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なでしこと啓太の一日

「啓太様。またダルイのですか?」
 そう言って風呂敷包みを担いだなでしこが部屋に入って来た。ベッドの上で啓太は弱々しそうに咳き込んだ。
「あ、うん。ごめん」
「それはいけませんね……」
 なでしこは心配そうにそっと白い手を啓太の額にあてがった。
「熱はそんなにないようですが……おかわいそうに」
 本当に気の毒そうな顔になる。啓太は布団の中から捨てられた小犬のような眼差しで、
「来てくれてありがとう、なでしこちゃん。俺、すっかり風邪引いちゃってさ」
 そう言う。なでしこは笑顔で首を振った。
「い〜え。こういう時はお互い様ですから……ところでようこさんは?」
 辺りを見回す。啓太はけぷんけぷんとまた咳き込みながら、
「おいはら」
「え?」
「あ、いやいや。薬を取りに行ってくれてるよ。天地開闢医局まで」
「え? 天地開闢医局? あそこはその」
「ニンゲン用の良い薬もあるんだって」
「なるほど。そうですか」
 なでしこは大きく頷いた。
「では、ようこさんがお薬を取りに行っている間、早速ですが栄養のつくおかゆを作らせていただきますね。お台所お借りしてよいでしょうか?」
 啓太はこくこく頷く。
 なでしこはさっと立ち上がると決然と台所に向かって歩いていった。刹那、啓太がもの凄い早さで毛布の下から何か取り出した。
 目のところにあて。
 立ち去り際のなでしこの後ろ姿を前のめりでじっと食い入るように見つめる。
「くは!」
 すぐになでしこは壁の向こうに消えてしまったが、一瞬だけ確かに見えた。
「うう」
 啓太がたら〜と鼻血を流す。
 鼻の下が完全に伸びていた。

 それは赤道斉の失われた遺品の一つ。
『服が透けて見える眼鏡』
 だった。

 その木枠の古ぼけた眼鏡は確かな効力があった。
 なでしこの白い背中と丸いお尻を包んだ下着がちらっとだけだが確かに見えたのである。仮名史郎との仕事中、偶然手に入れたこの啓太にとってはいわば究極といっても良い魔道具だが、実は『身体が弱っていれば弱っているほどより鮮明に見える』という妙な条件が付いていたので、啓太は真夜中、素っ裸で水浴びを繰り返したのである。
 念願の風邪を引くまでに三日もかかったのだから、丈夫すぎるのも考え物だった。
 だが、こうして今、なでしこと二人きり。
 チャンスはいくらでもあった。
「啓太様。梅干しはお好きですか?」
 台所をぱたぱたと行ったり来たりしながらなでしこが聞いてきている。啓太はほとんどベッドから落ちんばかりに身を乗り出し、
「え? うん。大好きだよ。かたくり粉と混ぜると爆発して良いね」
 と、上の空で返事を返す。
 向こうでくすっとなでしこが笑った。彼女は歌うように、
「そうそう。啓太様。食後にメロンもありますよ。おうちでいまりとさよかが栽培しているのを持ってきたのです。甘くて美味しいですよ」
 と、言う。
 その瞬間、ノーブラ主義の彼女の胸元がたゆんと揺れているのが分かって、
「うふ!」
 啓太がまた鼻を押さえた。
 その音を聞きつけて、
「え? どうかしましたか?」
 なでしこが御簾を上げてこちらを見てきた。啓太、慌てて眼鏡を布団の中に隠した。
「な、なんでもないよ、なでしこちゃん!」
 なでしこはぱたぱたと駆け寄ってくる。
「そんな! 鼻血が出てるじゃないですか!」
「あ、いひゃあ、これは」
 鼻を押さえている啓太をてきぱき介抱してくれ、上向きに寝かせる。とりあえず鼻の穴にティッシュの詰め物をすることまで手ずからしてくれた。
 それから彼の盆の窪に優しく手を当て、
「ほら、ちゃんと大人しく寝てないとダメですよ」
 優しくそう言う。
 慈母のような、楚々とした笑みである。啓太は思わず自分の下心を恥じる。こんな良い子を騙そうとしている自分を恥じる。
 だが、彼はそれ以上に図々しかった。
「だいじょ〜ぶ。だいじょ〜ぶ。それよりほら、ぴ〜ってお湯が鳴ってるよ」
 と、なでしこを促す。なでしこは、
「あ、いけない!」
 口元を手で押さえ、慌てて反転する。その隙に啓太は眼鏡を取り出し、ぱっとかけた。なでしこの華奢で白い背中。
 下着が見える。随分とレトロな。
 ひらひらの多い清楚な白。むっちりと肉づきの良い足。弱り方が足りないのか全部は見えない。
「!」
 啓太がさらに前のめりになる。その時。
「あ! そうそう! 啓太様」
 と、なでしこがぽんと手を打って反転した。
 その瞬間。
 ば〜んと豊かな胸が丸ごと見えてしまった。大きな。
 実に大きな。
「ぶは!」
 メロン。
 啓太は盛大に鼻血を吹き上げ、後ろ向きになって倒れる。同時になでしこが気がついてしまう。
「啓太様?」
 声が瞬時に凍った。
「……それ、なんですか?」
 目が笑ってない。
 それなのに顔は笑っている。怖い!
 もの凄く怖い!
 啓太がしどろもどろと、
「あ、いや、これは、その!」
 だが、なでしこは一歩一歩、近づいてくる。笑顔のまま。
「その眼鏡みたいなの、なんです?」
 そして啓太の手から眼鏡を取り上げ、検分する。そしておおよその機能を把握した後、なでしこはすうっと息を大きく吸い込んだ。
 また笑顔。くりっと振り向く。
「なるほど」
「な、なでしこちゃん?」
 啓太は震えを抑えきれない。
「これは少し」
「あ、あの」
「お仕置きが必要ですね?」
 ずいっと笑顔を寄せるなでしこ。影になる。
 啓太の絶叫。

 しばらくしてようこが帰ってきた時、啓太はただ震えているばかりで全く何が起こったか語ろうとしなかった。
 外傷はなかったがよほど怖い目に遭わされたらしい。
 ただ風邪は快方に向かっており、台所には作り置きのおかゆがあった。他には置き手紙が一枚。
『啓太様。あんまりえっちなのはダメですよ!』

 そんないつも通りの一日。
ようこと啓太の一日なでしこと啓太の一日ともはねと啓太の一日啓太とせんだんの一日

啓太とたゆねの一日啓太といぐさの一日啓太とごきょうやの一日啓太とフラノの一日

啓太とてんそうの一日啓太といまり&さよかの一日