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第15話では人工知能という存在がクローズアップされている。不乱拳博士の弟子たちが研究していた人工知能は自ら思考し行動するタイプの人工知能搭載型ロボットである。
そもそもこの「ロボット」という言葉は、1920年にチェコスロバキアの劇作家チャペックが書いた「ロッサム万能ロボット製造会社RUR」という劇において初めて登場する。チャペックはチェコ語で労働という意味の「ROBOTA(ロボタ)」からロボットという言葉を作ったと言われている。
チャペックが劇で描いたロボットのようなものは、ヨーロッパにおけるあやつり人形などの簡単なおもちゃに代表される動くおもちゃがモデルになっていると思われるが、当時、日本にはからくり人形と呼ばれる高性能な機械じかけのロボットのようなものが存在していた。このからくり人形は、コンピューターなどで行動を制御されているわけではないが、歯車のかみ合わせを利用してお茶を運び、相手に差し出すといった複雑な行動ができるようになっていた。しかし、これもまたロボットというよりおもちゃの延長線上の存在である。
工学者は、特に日本の工学者は人型のロボットにかける情熱が強く、戦前、戦後と人型ロボットを完成させるための重大な課題である二足歩行の実現に向けて尽力してきた。一時は人間のようにバランスを保ちながら、直立で二足歩行させるのは不可能とまで言われていたが、1997年、日本の自動車メーカーHONDAは二足歩行するロボットP2を発表。続いてP2を小型化したP3を発表。2000年にはより動きが人に近くなったASIMOというロボット発表した。劇中に登場するロボットのように自由自在に動き思考するまでには至っていないが、ロボットに関する技術はいまも着実に進歩し続けているのである。
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