KING AMUSEMENT CREATIVE | SONIC BLADE

小猿日記
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「こうして聖夜は過ぎてった」


「コンテスタッフ総勢5名、総カット数381cut、オーバーした尺7分半、カッティング時間6時間、泣く泣く落とした16cut、次回『十兵衛ちゃん2』「昨日の友が敵だった」」
6話の予告である。これだけでこの話にどれだけ気合いが込められているか身震いしたコザル。

2003年のクリスマスイヴ、華やぐ街の雑踏を通り抜けスタジオに到着した。
おはざるこはざるメリークリスマス!おおっ今日なんかめちゃめちゃ人多くないッスか?いつにもましてロビーは人でごったがえしている。スタッフさん達のいる調整室も混み合い、声優陣もブースに入りきれなくてロビーに溢れている。あちらこちらで交わされる挨拶、笑い声。あっシベリア柳生の兄貴たちも来ています!お久しぶりでございます~。今日は5話の収録もあるから大変でヤンスね。頑張ってくださいね。
さらにコザルは壁ぎわに立つ二人の女の子を発見。初めまして!橘英里佳さん、佐藤成美さんと名乗る彼女らは11月に行われたあのフリーシャ・オーディションに参加した内の二人。今回、ゲストとして6話に出演していただくことになったのだ!

ブースに入ると早速テストがスタート!喜多歩郎は滝壷にて修行の果てに、父喜多烈斎直伝「ウリキ・スペツァーレンチェーフニカ」を会得する。これは「ウリキ=力」つまり竹内力さんからのお名前をいただいた必殺技。
「お主、柳生かっ!」と喜多に問いいきなり返り討ちに遭うミック。「あのサムライ凶暴-っ!!注-意っ!!」の一条さん、さすがものすごい声量。そして全身全霊で木に激突するミック、好きだっ。

 御影とホワイトタイガー仁佐衛門の会話。先週自由十兵衛に斬られて、300年の呪縛から解き放たれたホワイトタイガーがぽつりぽつりと心境を語り、それを傍らで聞く御影。しかぁし「我ら竜乗寺真影流と同じ・・・私と・・・同じ・・・」のラ行が続くセリフで麗子さんがハマってしまったんでヤンス。「われらりゅうじょうじしんかげりゅう」が言いにくそうな麗子さんにかずやさんがけしかける。「彩夏ちゃん、『ねえさん』を叱ってよ。」「ねえさーん、めっ」。「ごめんなさーい」と麗子さん。
 次にハマったのはAパート最後の「・・・ってゆーか、近っ・・・」のセリフ。イントネーションが不思議になってしまうのです。「今のだと『地下』に聞こえますから、『近い』という気持ちで言ってください。」と言われ、何度も何度もやり直しをする麗子さん。最後には「あとでやりましょう。」ということになってしまった。
「レイコがあんなところでハマるなんてなぁ」と不思議がる監督。苦労の末にブースからヨロヨロと出て来られた麗子さん。果たしてご存じなのでしょうか。何度も録り直しをしたけれど「やっぱり一番最初のが軽くていいネ。」という結果になったということをっ(涙)う、言えない。

ホワイトタイガー仁佐衛門が御影の至近距離に来るシーンではふーふーと鼻息を入れる矢部先輩。台本にはないこの演技、さすがだなあと思いました。「じゃあ次はホワイトタイガー、匂いを嗅ぐ音をください。」ひえ~っ。

「Aパート以上です。休憩入りま~す!」おおブレイクタイム!おや、よく見るとみんなクリスマスファッションでヤンスね~。堀江さん、恵里奈ちゃん、彩夏ちゃん、名塚佳織ちゃんが偶然、赤と黒の服を着ていて四人が揃うとバンドみたい!あまりに可愛さに監督、記念撮影パチリ!
 そしてロビーに出ると、わぁっ!!とっても美味しそうな苺のクリスマスケーキが用意されているでヤンス~。彩夏ちゃんが上にのっているチョコレートの家が欲しいって。家かケーキかどっちがいい?と聞かれて真剣に考え込む彩夏ちゃん。うそうそ、どっちもあげるでヤンスよ~っ!!ケーキを切り分けほおばる楽しいひととき。苺がみずみずしくておいしい。うーん、クリスマスって感じ!
 思えばこの時に血糖値を上げておいて大正解であった。そう、次のBパートに備えての スタッフさんのせめてもの心遣いだったのかもしれない・・・。

 Bパートに入りやした。まずはバンカラと絡む婦人警視正のセリフ。「思いっきりアニ メ声でお願いします。」という指示に名塚佳織さんが色っぽく「は~い、署で聞くわよ~、じ~っくりね~」。ちなみにこれ語尾に全部ハートマークついてま~す。
 柳生十兵衛と父柳生但馬守との思い出を回想するシーン。十兵衛が片目を失い眼帯をつけるに至ったエピソードが描かれます。これは第1シリーズで鯉之介が十兵衛の墓前で語った話を映像化したもの。少年時代の柳生十兵衛を演じるのは三瓶由布子さん。但馬守の投げる手裏剣を紙一重でかわす十兵衛、しかし、その一つが左目に突き刺さります!目を庇いながら果敢に父に向かっていきます。
 但馬守を演じる大平透さん、柳生十兵衛役の目黒裕樹さん、そして柳生喜多烈斎役の竹内力さんは9話の時に6話の録音もしますのでレポート楽しみにしていてくださいね。

 Bパートのメインは今まで語られなかったフリーシャの過去。1話の冒頭のシーンより 300年間氷に閉じ込められていたフリーシャの目覚めの時。海流にのってシベリアから北海道まで押しながされてきたフリーシャ。長い眠りからさめ、気づくと故郷から離れた北の大地が目の前に横たわっている。そして、フリーシャはほどなく運命の地に足を踏み入れます。

 さて、声優初挑戦の橘英里佳さんと佐藤成美さんの出番。橘さんはリス役、佐藤さんはうさぎの役。
リスの家、木に扉がついてるよぅ。ここはコテコテのおとぎの世界。さっきまで但馬守やヤング十兵衛などが出てシリアスだったのに、突然、「リスさん、リスさん」とか言ってるこの世界観の落差は何?しかも恵里奈ちゃんもめちゃナチュラルにこの世界に入り込んでるし。このリスはまた5年もどこ行っていたんだ~?「リスは実は3ヶ月くらいで調査が終わっていたけど、悲しいのでフリーシャに言うに言えず過ぎてしまった・・・とか」という説を唱えるのは音楽の増田氏。「それいいね(笑)、ずっと悩んでたんだ~」とスタッフ陣。うっ、もしそうだとしたら
可哀想だあ。本当はどこ行ってたのリスさん、ねえねえ。
 自由への憎悪を力に変え、ニエナスタヤシャ眼帯で変身するフリーシャ。柳生十兵衛の力を受け継ぎ、見事な剣技をみせます。「しゅごーいフリーシャ」「ごめうさ~」とシュガーボイスの佐藤さん。音響監督曰く「うん、とろけそうな声でイイでしゅねェ。」

 動物広場の歌を録ります。まずは声優陣と後ほど動物役を演じるスタッフさん達を合わせて15名くらいが一斉にブースに入ります。小さめのブースはもう満杯。スタッフさんがマイク前、その後ろに堀江さんや麗子さんがちょこんといる。「こんな光景みたことないよっ(笑)!」とシャッターを押しまくる監督。
「♪動物の広場はベッセラベッセラハラショー、楽しいところだベッセラベッセラハラショー!人間だってダバイダバイ一緒に遊ぼうダバイダバイ、お手手をつないでランランラララ?ランランラララ?輪になって踊ろう、ランララランランランラララン楽しいひ・ろ・ば!」マイムマイムのメロディーに合わせて、即興の歌詞に合わせてハイになって歌います。めちゃくちゃ楽しかったです。
フリーシャの誕生日を祝うガヤ、変身したフリーシャをたたえるガヤなど、いつもより大人数のせいもありブースの中は動物村そのもの、活気に満ちてました。

 休憩の際に、橘さんと佐藤さんにインタビューをさせていただきました。お二人とも現場は初めて。
今回の役についてはいかがでしたか?というご質問に対して、「リスをどう捉えたらいいのか、捉えようがなくて困りました。たとえば5年もどこに行っていたんだろう、とか。」と橘さん。やっぱり悩むでヤンスよねー。
佐藤さんは「うさぎは自分とちょっと似ているので素でいこうかなあと思いました。」と答えてくださいました。
 フリーシャオーディションに関しては、橘さんは「自分はオーディションでははじけきれませんでした。色々考え過ぎて指示に対して切り替えがすぐに出来なかったなあ。」佐藤さんは「変身後の演技が大変でした。中山さんは元気がよくて、勢いがありました。色んな引き出しを持っている方だと思いました。」

 最後にひとことずつお願いしました。「こんな機会をいただいてありがとうございます。スタッフの皆さんがかなり個性的で楽しかった。何しろオーディションの時から親切にしていただいたことに感謝しています。」と橘さん。「個人的なことですが、以前、堀江さんの出演されるライブを観にいったことがありました。数カ月前はあんなに遠くにいらした方なのに、今日はこんなに近くでお会い出来て嬉しいですっ!!」と佐藤さん。ありがとうございました。お二人にとっても最高のクリスマスになったようで良かったです。またいつか一緒にお仕事したいですネ。

 さて、6話の声優陣のパートが終了した後、入れ代わりに森の動物を演じるスタッフさんたちがブースに入ります。クマを演じるのは宮下新平氏。クマが宮下さんに似ているのか、それとも宮下さんがクマなのか。このキャラそっくりな演出家さん。四郎withバンカラトリオのシーンにめちゃくちゃ愛を込めてくださる神様。いつも紺色のお召し物。そしてやっぱりクマも紺色♪
 トラを演じるは作画監督の西位輝実氏。か細いうなじがセクシーなハンサム・ガール。『J2』部屋の紅一点かつ弟的存在。小柄な体躯から溢れるパワーで日夜を問わず作画をこなす。お気に入りのキャラは「喜多歩郎」。通称「ジャブ」さん。由来はヒミツ。
 大蛇役は制作スタッフ藤川玲子氏!監督をはじめとする『J2』スタッフの暴走を止め る名ストッパー!テキパキとした頼れる敏腕クールビューティー。ちなみに3話の人形劇の制作者でもあります。えっと、その節は人形こわいとか言ってスミマセン。それにベテランコーチ・長濱氏が加わり、ブース内は一躍アニメスタジオのような雰囲気に。

 さあ、三匹の動物は日本に辿り着いたばかりのフリーシャを襲います。「えっと何て言って襲いかかりましょうか。」「やっぱくまは『ベア~』で、蛇は『ニョロ~』。トラは普通に『ガルル~』かな。」いきなり変な雰囲気だよこりゃ。タイミングが難しいので、長濱氏がキューを出していきます。あっという間にやられてしまう動物たち。「我こそは柳生十兵衛の二代目なるぞ!」と名乗りをあげる幼年フリーシャの凛々しさに、すっかりとりこ。金太郎のように背中に乗っけて広場に案内します。

関西出身の西位さん、「あっこっちやこっち」「いらっしゃ~い」と関西弁のトラを熱演。臆すことなく自然体の西位さん。「ジャブ、巧いなあ。巧すぎてつまらんっ」「もっ
とこうかんだりしてくれれば面白いのに」「かめよっ」と不満そうな(?)大地監督。そのご期待に応えてカミカミの藤川さん。語尾の「ニョロよ」がすべて「ノロよ」になってしまい監督ご満悦。長濱チーフは藤川さんを集中的にコーチ。最初ははにかんでいた大蛇さんも最後の方にはのびのびと演じられていました。

 そして、名声優がここにもひとり。宮下さんの演じるクマが「じゃーん、みんなから。」とネコリュックをプレゼントしたり、「フリーシャ何泣いてるんだい?」「許せないね。どこのドイツ人だい」「オレ喰ってきちゃおうか?」とにかく全部いい味なんです。っていうかこのクマ、普段の宮下さんまんまだぁ~。フリーシャが涙を浮かべるシリアスシーンのはずなのに、「サクッサクッ」とクマの足音が聞こえてくるともうダメ。吹き出しそう。

 ニエナスターヤーシャ眼帯を作るフリーシャ。「わたしのラブリー眼帯よ。」と言うフリーシャに「えっそれなに。」と素で返すのは6話の演出家そーとめこういちろう氏 のタヌキ。
眼帯でフリーシャ十兵衛に変身するシーン。光を浴びて「ホントにまぶニョロ(ノロ)」と藤川さん。その横で「瞳孔が閉じるニャー」というのは制作進行の土肥紀子氏。に、似てるっ!

 4話でナントカ嘉彦でデビューされた馬越嘉彦氏、「まぶしい感じを表現してください。」という指示に対して「あぃたたた、ぃタタタ」。えとー、関節技かけられたっぽいです。うさぎに絡むイタチを演じるのは色彩設計の堀川佳典氏。「しーっそれを言ってはいけないよ。」(ほんとに「しーっ」と読んでますよォ)「それはそんな簡
単なことじゃないんだよ。」とうとうと哲学を説くイタチ、妙に落ち着いていておかしい。過去最多のスタッフ声優陣、皆さんそれぞれ個性があって笑いすぎて腹筋痛くなりました。

 ちなみにエンドカードにも、ノルシュテインさんのセリフの後に、タヌキの『えっそれ何?』が入ってます。絶妙のタイミングでものすごくいいツッコミになっている!ってこれ視聴者のみなさんが思ってることじゃ・・・(笑)
6話だけ、特にBパート見た人は「自分は一体何を観ているんだろう」って絶対悩むでヤンスよ。しかしラストはフリーシャが正体を現わして動乱の予感に終わります。ついに次回、空中戦ですよ。御期待クダサイ。

 さて、超密度の6話が終わりましたが、この日はまだまだ続きました。そう、前週録らなかったシベリア柳生の5話抜き録りが残っていたのでヤンス。人数多すぎて喜多を除いてロビーで待機していた兄貴達。お疲れさまです~。相変わらず息のピッタリ合ったシベリア柳生。アフレコはさくさく進んでいきます。

 今回はホワイトタイガー殿が大活躍。矢部センパイは芝居気たっぷり。「出~たなぁ、二代目柳生十兵衛ェ!」最後に十兵衛に挑むタイガー。「矢部さん、歌舞伎調でお願いします。」とたなかか ずやさん。断末魔も結構何度も録り直しをしました。すごい見事なやられっぷり。5話の台本読んだときにホワイトタイガーはもう死んでしまうのではないかと本気でショックを受けたそうです。「ホワイトタイガーはホワイティータイガー として生まれ変わる。」とかデマも飛び交う中、ブルー だった矢部さん。6話では復活を果たされて良かったですね。で、ホワイティーって何だ。

 シベリア柳生雑魚軍団は、ブースの中にいるシベリア柳生の面々と、見学していた恵里奈ちゃんとコザルで入れました。「わーっしょいわーっしょい」とか「うわあああああ~」。思い切り大きい声が出せるから雑魚軍団、楽しい。

 怒涛のような数時間を駆け抜け、すべての録りが終わったのが23時近く。本当に皆様お疲れさまでした~!
久しぶりの長丁場と密度の濃さに1話のアフレコを思い出しました。
スタジオを出ると、街のクリスマスイルミネーションが眩しかったなあ。瞳孔が閉じるニャー。
人生の中でもまれなる濃いクリスマスイヴ。こうして聖夜とともに、2003年最後のアフレコは終わったのでした。
予告の通り、スタッフ陣の力があらゆる場面において結集した第6話いかがでしたか。このEDのエンドロールもすごいことになっていましたよ。スタッフさんの名前の横に動物の名前がずらずらと。色々な方々に支えられて『2』は作られています。これからもどうぞ応援してくださいね。それでは本日もありがとうございました!
次回もお楽しみに☆☆☆

一緒にオーディションを受けた仲間と一緒に演技ができて、緊張しましたが嬉しかったです。   お二人とも初めてなのに、すごく上手でビックリしました! とても可愛くて見ていて楽しかったです。遠くから来た方もいて大変だったと思いますが、本当におつかれさまでした。
中山恵里奈
堀江由衣
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