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小猿日記
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#10「あの日のワタシに戻ってた」本線AR

『バンカラここでも手短かだった』

『J2』のテーマの内、脚本家が最初に考えたのは「真路」だったそう。「本物とニセモノ」や「親子」などの他の構図はやろうと決めたわけでなくて自然にそうなっていったそうです。
「本当にやりたいのはチャンバラだけだったからね(笑)」と語る大地監督。
「『本物とニセモノ』のテーマが色濃くなったのはフリーシャの存在が大きかったです。自分でニセモノだと思い込んでしまっている女の子ということでスタートしているから、じゃあ、ニセモノじゃないと気付くところはどこなんだろうということで、それを探ろうとして物語が進んでいきます。」

そして、彩のゴーストライターの話も。
「ゴーストライターは『ニセモノ』っぽく見えるかもしれませんね。表立って『僕はゴーストライター』と堂々と言えない感じはある。でも石橋連達は売れているから、彩の小説が売れているということだよね。もしかしたら石橋連達じゃなきゃ生きない、とか石橋連達が持ってくるテーマが面白いとか、彩と連達のコラボレーションがうまく行ってるのかもしれませんね。こうじゃないと自分が生かされない場っていうのがあるからね。そうするとちょっとアニメの仕事に似ているかもしれませんね(笑)。小説家のお父さんって言うと少女漫画っぽい。『売れない小説家』という設定もよくあるんだけど、ゴーストライターを職としているひとはまた格別だと思った。娘としては、つまり自由としては「自分の小説」を書いてほしいとすすめるでしょうね。彩がゴーストライターをやめるかやめないかは、なりゆきに任せようと思っていました。でも今となってはこれしかなかったのかなと思います。
一番気持ちがいいのは、彩が自分の名前で出した小説が売れていくという展開だったのかもしれないけれど、あえてゴーストライターの道を行くっていう彩がむしろカッコイイのかな。っていうかだらしないんだけど(笑)。あえてかっこつけることもないですからね。彩の立場に一番感情移入できるのはやっぱり僕が親だからかなあ・・」

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彩に対する熱い思いをぶつけられた、この11話のシナリオ。不器用だけれども、いざとなったら娘の為に駆けつける、魅力ある父親像を演じられるのはこの方しかおりません。前週、「来週はセリフが多いんだよ~」と仰っていた藤原啓治さん。菜ノ花彩、一世一代の見せ所ですよぉ!ものすごく楽しみです!

アフレコがスタートします。
ミックから奪った刀を引き摺りながら、ボロボロになってホワイトタイガーの後を追う彩。「ちくしょう、一般人をなめんなよっ」と叫び、必死で走り続けます。(本剣越の豊かな自然に吃驚したでヤンス)。息もたえだえになりながら、ようやく御影を見つ出しました。

『御影さん、じゅうべえを返してくれ・・・』
『御影さん、今回ばかりは間違ってるよ』
『じゅうべえ・・・』

ここから、彩の自由に対しての語りかけが始まります。彩はゴーストライターの仕事こそが自分の本当に好きな仕事であることを正直に話します。

『ゴーストライターの仕事ってなぁ自分の名前で書かないニセモノかもしれない・・・』
『でも違う・・・ありのままの菜ノ花彩が、本物の菜ノ花彩が、選んだゴーストライターの仕事なんだ・・・』

虚空を見つめたまま、ピクリとも動かない自由。彩の声が届いているのかすらわかりません。そんな自由に根気よく呼び掛け続ける彩。

『返事をしろよ、じゅうべえ、じゅうべえと呼ばれたら返事しろよ』
『迷ってるんだろ、じゅうべえ、お前は自分が見えなくなってる。・・・っていうか、逃げてるな』
『前にお前が柳生十兵衛になったときな・・・俺は必死でお前を取り戻そうとしたよな。今度もそのつもりでいたんだ。そのつもりできた・・・でも、やめた。』
『今度は俺は何もしない。自分で決めろ。』
『自分で決めろ、自分の真路は自分で決めろ』
『どんな答えを出しても構わない、俺は止めない、お前の思う通りにやれ。やりたいことをやれ。』

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テストが終了した時、大地監督がブースに入ってこられました。『J2』では彩に一番思い入れがあるという監督は、何度も何度も書き直したシナリオを片手に、藤原さんに彩の細かな心の内を話します。
「今のテストでは自由に対して物わかりのいいお父さんという感じの演技になっています。でも実は彩の心境はまったく逆で、本当は全く余裕のない感じなんです。自由を説得する言葉を探している。自分も自由に対して説教できるような奴じゃないけど、だけど、何か言わなきゃいけないっていう状況なんです。こんなだらしない俺がこんな立派なこと言っちゃっていいのかよってくらい。何でこんな急に語ってるんだよ俺ってくらい(笑)どんなに話し掛けてもぼーっとしている自由の姿に焦りを覚えて強い口調になります。だからこの後、自由が初めて喋った時、ちょっと自信を回復して、ほっとするんですね。」

話を聞いていた藤原さん、もう一度マイク前に立ちます。今度は、先程の娘に諭すような穏やかな言い方とは違い、焦りを隠しつつ強がる父親、でも必死な父親の姿が現れます。自分も娘をひどく傷つけてしまった、何か言えるような立場ではない。しかし、今、どうしても自由に目を覚ましてほしい・・・だから、そんな悲痛な願いと共に、彩はここで「3つの選択肢」を打ち出し、賭けに出るのです。

『このまま、ここで、俺の顔も忘れて、そうだ、お間の死んだ母親の真琴にそっくりな御影さんと共にここで暮らして行くのもいい。』
『俺と家に戻ってまた二人で元のような暮らしに戻ってもいい』
『そして・・・そしてな・・・柳生十兵衛になってフリーシャを斬りに行くのもいい。自分で決めろ』・・・・

「ここは御影に対しては少し意地悪な言い方をしています。つまり、真琴のフリをして自由を取っていっちゃったから。」と彩の本音を語っていく大地監督。
「俺は何とも思わねえよ、というのは実は彩の強がりなんです。そんなこと出来ねえだろという強がり。
『いいよ、別に。お前はお前のやりたいことをやれ。』というように投げやりに言っているが、心の奥ではそれどころじゃない(笑)。本当は、さりげなく間に入れた「俺と家に戻って」という2番目の気持ちを一番言いたいんです、彩は・・・」

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しかし、自由は、そんな彩の気持ちとはうらはらに、3番目の「フリーシャ」という言葉に強く反応を見せます。
『自分で・・・?決める?』
娘の初めての反応に、内心ホッとしつつさらに語りかける彩。ずっと探っていた自由の心の鍵の手応えを感じながら、それを逃がさないように必死に続けます。

『自分で決めるんだ、自分で・・・』
『わからない・・・自分で決められない・・・怖い・・・だめだったら怖い・・・』
『なんだ、失敗が怖いのか・・・失敗してもいい、自分で決めろ。』
『じゅうべえ、自分で決めろ。失敗はな・・・失敗してみねえとわからねぇだろ』
『やり直すんだ、失敗したら、やり直すんだ。何回だって。俺なんかいつもそうだ』
『・・・やり直す?』
『お前の一番やりたいと思っていることをやれ。心のままにやれ。』
『思ったとおりのこと・・・?一番やりたいこと・・・?』
『そうだ、じゅうべえ』

彩の呼び掛けに、自分自身を取り戻していく自由。豊かな森がそれを祝福するかのように、ゆっくりと樹気を降りそそがせます。「自分のやりたいことを、心のままに」決意した自由。自らの意志でゆっくりと鮎之介に向き直り、その小さな手からラブリー眼帯の紐をほどき、手に取りました。

そのしぐさを傍らで見守る彩(台本には「息を飲む彩、思わず目をつぶる(一番選んで欲しくない選択だった)」と書かれている)。本当は柳生十兵衛のことなど、戦いのことなど忘れて、自分の元に戻ってきてほしかった。そんな道を選んでほしくはなかった。しかし、自分で言ってしまった、『どんな答えを出しても構わない、俺は止めない』と。
娘がはじめて自分自身で選んだ道が、こんなに自分にとって辛いものになろうとは。
だが、父親だからといってそれをとどめてはならない。辛い気持ちを抱えたまま、ただ見守るしかない苦渋の表情の彩。御影と共にフリーシャとの戦いの場に臨んだ自由を木の陰から見つめています。

『娘のこんな姿を・・・冷静に観ていられる父親がどこにいますかね。・・・・・・だけど、約束しちゃったんですよね、俺、じゅうべえと・・・。お前がどの道を選んでも俺は応援するって、言っちゃいましたよね。』

複雑な胸の内を吐露する彩。しかしそんな彩の様子に安心する御影。この戦いを通して父も、娘も、苦しみの中から菜ノ花親子が一歩成長した瞬間だったからです。

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さて、バンカラトリオでは、今日も四郎が絶好調だった。
『諸君』とか『あんまり関係ないんじゃないですか?だから逃げてもいいんじゃないですか?』
って、何でこんなにむやみに面白いんだろう。そんな四郎につられる番太郎。ツッコむ大猿小猿。バンカラのアフレコを見ていた藤原さんも「まるで同じ番組とは思えないな・・・」とぼそっと(笑)。
アフレコ後、大地監督より「今日バンカラトリオ良かったよ。全員良かった。今までで一番面白かったよ。やっぱりここまでくるとようやく面白くなってきたね。」と嬉しいお言葉が!!ありがとうごぜえやす!クライマックスに向けて、バンカラも絶好調☆でもっでもっ、あと2話で終わってしまうでヤンスよおおおお~(号泣)。
それでは、ううっ、皆様、ヒック、ウック、今日も、読んでくださり、ありがとうでございました、エグっ、ヒクッ、びえええ~んっ



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あとがき            
(C)大地丙太郎・マッドハウス/j2製作委員会