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「子ゆえにママはつよかった」
わたくしごとで申し訳ないが、コザルはいつになく緊張していた。この3話、何だかミックスジュースのようにごちゃごちゃと色々な役があるのだ。セリフも格段に多いのだ。まだまだひよっこの自分、そんなことで舞い上がってドキドキしてしまう。うっ、誰か救心ください。
いきなり冒頭ナレーションから出番である。「菜ノ花自由はパパ彩から十兵衛と呼ばれていた・・・」いつもの予告ナレーションは15秒だが、今回は25秒。このナレーションの口調を色々考えあぐねたコザルはAR前日の夜、師匠の大平透さんに電話をしていた。
「こういうナレーションなんですが・・・」「じゃあ、お前ちょっとそこでやってみろ。」「えっここで?電話でですか?今ですか?」「いいから早くやってみろ。」「は、はい・・・菜ノ花自由は~」と始めたそこは吉祥寺の駅前。夜とはいえまだまだ人通りも多く賑やか。どう考えたって携帯電話片手に「柳生」とか「ラブリー」とか「十兵衛じゃないもんっ」とか言ってたら妙ですよ、近付きたくないですよ。そんな状況下に弟子がいるとは知らない師匠「声が小さいぞっ!」「は、はいぃ!」もし、みなさんが道を歩いていて、何か不思議なことを呟いている方がいたら、それはレッスン中の声優かもしれませんよ。そんな時は、どうぞあたたかく見守ってあげてください・・・いや決して凝視しないように・・・お願いしまス。
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さて、今日はわれらが男三本松番太郎の心の葛藤が明らかになる回。いつも能天気な大将もやっぱり色々悩むこともあるんでヤンスね。「仕事の内容がよくわからないのでイメージも安っぽい」という酒蔵で未来の番太郎と手伝う妻。「お前さん」「あいよっ」の繰り返し。酒造りのイメージもワンパターンに、おやびんの妄想は果てしなく続いていく。この妻はちなみさんがアテていますが、何とも色っぽい女房だねェ。
おとととっ、段々大将が暴走してきたでヤンス。最初は十兵衛ちゃん、次の瞬間フリーシャちゃん、小○栄子ちゃん、優○ちゃん、上○彩ちゃん、アグ○スチャン・・・大混乱する大将!そして悟った。「まずは恋女房だ!」超ガッカリ!!いくぜっ大猿!「どっひゃあ~ばかっすね~!!」これ、俺たちの十八番「ばかっすね」の最上級。「バカだバカだとは思っていたけどここまでバカとは思わなかった。」という意味なんでヤンスが、まさか早くも3話で使うとはね。トホホ。
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次にコザルが演じるは四郎のおっ母あ。四郎とハジメの2兄弟を抱えることになってしまった婦長さん。いつもは優しいママなのだが、時々腕が伸びたりするから油断出来ない。今日は自分のあまりのナイスアイディアに浮かれる息子四郎に愛の往復ビンタをくらわすのだ!バイオレンスみさこっ。ではテストォ!「超・ナイス・アイデア-」「何時だと思ってるんだよっ」。し~ん。あららダメだったみたい。「んとね、もうすごいガミガミババアなの。お前の方がウルサイよっ!!ってくらい(笑)。」調整室から指示が出る。ははあ、よしっ本番!「超ォ・ナイス・アイディ~ア~~!!」「何んん時だと思ってるっだよッッ!!」OK!ホッ。往復ビンタの後のとどめの一発が痛そう~。こらこらっハジメ、笑いすぎじゃ。しっかし大津くんの四郎、相変わらず愛くるしいほどアホだぁ。ママの出番はこれだけですが、折角登場したからには四郎ウォッチングをしばらく続けますよ。
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あれほどおっ母あにボコボコにされても自分の思いつきの素晴らしさに翌朝も浮かれる四郎。爽やかな空気に足取りも軽やか。「僕は今、胸に超ナイスアイディアを持って歩いている。その内容は誰も考えつかなかった僕ならではのものだ。」と特許を取りかけた矢先、番太郎も同じ考えだったことがあっさり判明。四郎と番ちゃんって実はすごくウマが合う?というよりもレベルが一緒。さらに大猿小猿にその企みの悪どさをすべて暴露されてしまう。「コ、コラ-」図星を指されていきり立つ四郎。「著作権の侵害であーる!」だめだ、もはやつけるクスリがねえでヤンス。その後の「・・・君ってサイテ-」も「どっひゃあ!」に続きごく一部でひそかにブーム。一部でね。
話はさかのぼるが、今日の本番前にいつもは寡黙な(というよりも練習に余念のない)大津くんが、上田先輩に話し掛けていった光景を初めて見た。「あの、すみません。この『TLFC』のタイミングや一緒に台詞をいうところ教えていただけませんでしょうか。」上田先輩、快くうなずき、大津くんと一緒に『転校生ラブリーズファンクラブ』の掛け声を練習する。そばで聞いていてかーなーり楽しかった♪本番では、番太郎と四郎は息を合わせて「大変長らくお待たせいたしました『T』『L』『F』『C』つまり『転校生ラブリーズファンクラブ』が結成されました!」とまくしたてる。いい調子×2!大津くん、上田先輩に負けないくらい元気!
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「チョ-遅刻だチョ-。」「時は過ぎ・・・でござる」(右太衛門様)「放課後だー放課後だーひいはあひいはあ」まったくもって忙しい四郎。県立高校から毎日母校の中学まで御苦労様、って勉強せんかーい。「ハァハァ」と走っている息切れの演技をしていた大津くんに音響監督が指示。「大津くん、それ「ひいはあ」って口で言っちゃってくれる?」おかげでさらに間抜け度アップ!そんな健気な四郎を遠くから見守るのは、前作でもその存在自体が最後まで謎であった白幡丸乙女様!取り巻きの大蝶はちなみさん、小蝶はコザル。実は齋藤彩夏ちゃんは打入りでキャラ表を貰うまで自分の役が今回も乙女だと思っていたそう。違うって、もっと重要な役だって。
ゼイゼイ言ってる四郎を望遠鏡で眺め、「今度こそ~今度こそ~」と身悶えする乙女様。こんなになってしまったバカ息子をまだ愛してくれるなんて母ちゃんもったいなくて涙が出るよ。
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さて『ズンダラメの歌』である。『ゴーストライターの歌』に引き続き登場した変な歌。
最初の歌詞は「デタラメの歌」だったのだが「ズンダラメ」に変換。このCDを初めて聞いた時は夜中にもかかわらずコザル大ウケ。CDはちゃんと「っおれがつくぅったデッタメのうった♪」と演歌調メロディーが入っていて28秒のくせにお腹いっぱい笑わせていただきました。「俺が作ったズンダラメの歌~お前が作ったズンダラメの歌~♪」四人でめちゃくちゃ楽しく歌いまくる。四郎、なんか音程がいい感じに微妙でヤンスよっ。しかしここでハズさなきゃ大物じゃない!『TLFC』結成式に胸を弾ませながら歩く「甘?れ」へと続くあぜ道。本日も体業なるかっ?
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そんな浮き浮き気分に水を差すかのごとく、突如姿を現わした喜多歩郎!な、何者でヤンス?あぜんとする番太郎、大猿、小猿が次々に喋るシーン。コザルはここでハマってしまった。「な、なんだありゃ!」「やっぱり」「また始まっていたんでヤンスね」という三人のセリフなのだが・・・「えっと、小猿ね、大猿もシリアスだけど、それにあんまり引き摺られないで。」音響監督から指示が出る。「は、はい。」やり直し。「また始まっていたんでヤンスね。」・・・あ、あれっ。違いますよね。「もう一度やってみようか。」「はい。」これが何度か繰りかえされました。
小猿のセリフを喋る時は少々喉の奥を締めるようにしています。そして語尾の「ヤンスね~」の「ね~」を「ニェー」とやり過ぎて、「何か意地悪に聞こえてしまうから潰しすぎないで。」と注意をいただくことが多いです。また高い声を意識し過ぎてしまって、シリアスなシーンではどういうトーンで喋ればいいかと考え過ぎてしまい、何度も何度もダメ出しをいただきました。その度に音響監督、監督が色々なアプローチをしてくださるのですが、瞬時に対応出来ない自分がどんどん情けなくなってきて。
パニックになりかけていたところ、何度目かでOKの声がかかる。あれあれ、こんなのでいいのかなあ・・・。
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ともかくARは先に進む。鮎之介にラブリー眼帯を取り付けられて、自由は図らずも変身。お、俺達吹き飛ばされてます~。そしてフリーシャ十兵衛も登場!「何、お前ら知ってるのか?」という番太郎に向かって。「大将凡人でヤンスから見えなかったでヤンショ-が」と言う小猿。しかーしコザルもスローで何度も見なくては分かりませんでした。テヘっ、凡人以下決定!
何とか自由十兵衛に加勢しようとする四郎。「こうやって・・・え~い」と竹刀を振りかざし走っていく姿が何度見てもおかしい(笑)。「このひとまた親ビンとは違った意味で」「バカッたれっすね」容赦のない大猿小猿。間をあけず懲りずに喜多歩郎に向かっていく四郎。リベンジなるかっ。あららダメダメだあ。「助けてくれれば命だけは助けてやる」って帰ってきちゃった。「こいつ・・・」「第一シリーズじゃあそこまで行った男だったのに・・・」ほんとだよっ(笑)
そんな四郎も最後の最後でキメる!フリーシャ十兵衛に敢然と立ち向かうシーン。絆創膏をビッとはがし名乗りを上げる!「県立本剣越高校一年B組竜乗寺四郎」「お相手いたー(す)」ああ、電車が来てしまったぁぁぁ。いや、電車来なけりゃ君やられてたよ、ホント。呆然としているフリーシャ十兵衛を残し、第3話はひとまず終了。
肩から力が抜ける。
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「じゃあ小猿、「また始まっていたんでヤンスね」のシーンをやりましょうか。」と音響監督。き、喜多―っ、じゃなくて来たーーッ!とドキっとした反面、ホッとした。先程やったのはどう考えても中途半端だった。あんなのでは嫌だ、と思っていたから。このようにきちんと役者の精神状態などを見て、アフレコの順番を判断してくださったことがとても有り難かったです。
仕切り直して再度チャレンジ。「やっぱり」「また始まっていたんでヤンスね」・・・「んっとね、小猿の基本は脳天気。でもその中にもきちんと色々考えているという性格が出るといいな。」「大猿小猿は前回、自由がすごい戦いに巻き込まれているのを目の前で見てきた。そして終わったと思っていた戦いが、ああ、あの苦しかった戦いが、ああやっぱりまた始まっていたんだ。という気持ちを出して。」「「また」というところを「やっぱり」から続けて言うつもりで言ってごらん。」たくさんヒントをくださるかずやさんと大地監督。ちなみさんも「やっぱり」ときっかけのセリフを隣で言ってくださる。「「マタ」じゃなくて「また」だよ。」とトーンの指示も出る。
しかし「はい」と言った次の瞬間、自分の声がたった今耳で聞いて納得したはずのそのトーンまで下げられない。下げようとしたら別のものになってしまう。あれ、小猿こんな声じゃないよなあ。でも小猿の声のままにどうやったら下げることが出来るんだろう。「小猿はシリアスな場面でも何か一段違うところから発言するような感じ。」えっと、えっと・・・。どうしようどうしよう、全然出来ない、終わらない・・・と心の中で泣きながら「また始まっていたんでヤンスね」を繰り返しました。そんな不安を察してくださったかのように途中、ちなみさんがさらに一緒のマイクに移動してきてくださいました。こうするとすごく安心する。泣きそうな顔になっているコザルに何度も「大丈夫だよ。」と声を掛けてくださいました。ちなみさんや他のスタッフさん達をお待たせする申し訳なさ、焦り。ようやく「はい、今のいただきました。」とOKが出ました。ふらふらと落ち込みながらブースを後に。「ありがとうございました。」「本当にすみませんでした。」もうスタッフの皆さんに頭を下げなければ気が済まない。
ものすごくブルーになっていたら、ちなみさんが色々とアドバイスをくださいました。「お芝居のセリフはね、相手にいっているものと自分にいっているものと2種類あるの。自分に言うからってモノローグとは限らない。だから、さっきの小猿のセリフは相手に言っているようだけど、自分自身に確認するような感じなのよ。」落ち込むこざるを励ますおーじゃる。そう、確かに声のトーンを気にしすぎていて、小猿の心を表現するという一番大切なことをおざなりにしていたかも。だめだなあ、わたし。ううっ、頑張るでヤンス~~!
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さて、本日最後にゲストとしてブースに入られたのは、御影の心の中にいる銀八さん(実写)。この役を演じるのは『十兵衛ちゃん2』の音響制作をご担当くださっているダックスの大室正勝氏。いつもARのスケジュールなどを分りやすく丁寧にファックスしてくださったり、現場でもいつも色々気遣いをしてくださったり、頼りになる素敵な方です。すでに撮っている映像に、セリフを入れていかれます。
「おれ銀八!トラック転がして25年。カジキマグロを運ばせたら右に出るものはいねえぜ!」
うーん、迫力の映像!後半はSEで聞こえなくなってしまっているけど変な台詞ぅ(笑)。大室さん一発でOKが出ました。『2』スタッフって皆さん多芸な方が多いなあ。そうそう、コザルAR日記冒頭のごあいさつでカジキマグロとか言ってるのこれなんです。説明が遅くなりましてごめざる~。
実写あり、人形劇あり、懐かしキャラあり、歌あり、殺陣あり、セクシーパジャマありと非常に盛り沢山の第3話。見直したスタッフ陣一同の感想「色々ありすぎて何の話だか分からない。」そして一つの結論が出た。「よしっ「白幡多丸乙女の出る回」と呼ぼう!」呼称決定。いいですか皆様、第3話は白幡多丸乙女様の回ですわよ。乙女様、乙女様、やってくださいよビシッと。
・・・いやいや、ビシっとするのは自分でヤンした。コザルはまだまだ未熟者ですがARも日記も真剣に頑張りますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
こんな現場のあたたかさや熱気を少しでも皆様に感じていただき、『十兵衛ちゃん2』をより楽しんでいただければこれほど嬉しいことはありません。
それでは、皆様、今日も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!ダバイミールイ・・・じゃなかったダスビダーニャ!!
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