『きたろう片目のナゾとけた』
『アフレコも一週飛ぶほど脚本家も悩んでいる。むしろそっちに手に汗握る・・・』
前週で予告した際の12話のコメント。ここだけの話、実は一週ではなく、諸々の事情により二週飛んでいたのだった(笑)!脚本家だけではなく、すべてのスタッフさんも一切の妥協を許さず力を入れていたためである。そしてもちろん我々も。
とうとう自由とフリーシャの最終決着がつけられるこの日のスタジオ、2週間ぶりに会った声優陣「久しぶりです!」「寂しかったよ~」「台本びっくりしましたね。」と最終2話に向けてのエネルギーが渦巻いていた。
そしてこの日は何と、DVDにつける映像特典のための現場撮影があった。そして撮影をするのは大地監督。これが何より良かったのはみんないつものテンションに変わりがなかったこと。もしもカメラクルーの方とかが撮影することだったら緊張したんだろうなあ。
本日12話のAパートは、前週に引き続き覚醒した自由十兵衛とフリーシャ十兵衛の、めくるめく凄まじい戦いのシーン。11話のラストから度胆を抜かれましたけれど(丸太がかんなくずになっていくシーンとか、刀の先端どうしがカチンとぶつかるところとか)、本当にすごいという以外に言葉が見つからない。今日の前半もほとんどそのような死闘が繰り広げられます。拮抗する自由とフリーシャの剣技。しかし徐々に劣勢になるフリーシャが息をあげはじめるシーンからアフレコは始まります。恵里奈ちゃんが、「ヒューヒュー」と喉を鳴らしながら苦しい息づかいを表現していきます。
『はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・パーパ・・・』
目を閉じ、父をイメージしようと呟くフリーシャ。
『パーパ・・・何か言って・・・』
しかし、フリーシャの心には誰も何も語りかけてはきません。
この次のシーン、『(鼻声で)パーパ・・・パーパ・・・』と台本にありましたが、「すいません、それ、(息声で)の間違いです。」と訂正が入る。どっと笑うブース内。恵里奈ちゃん曰く「鼻声でどうやってやるんだろうと思いました。ああ、良かった」いやあ、それも聞きたいかもなあ、花粉症のフリーシャ。
絶対無敵と信じていた自分の力が、今、自由十兵衛の前に崩れようとしている恐怖。
次のBパートでは、さらにその絶望を増していく演技が必要となります。がその前にちょっと休憩♪
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ちょうどこの日、『J2』のサウンドトラックが皆に配られました。あ、ボーナストラックにマイムマイムが入ってる。これクリスマスイブに録ったんだよね。うわ~ジャケットかっこいい!!裏には、革製の赤いラブリー眼帯と青いニエナスターヤーシャ眼帯がそっと寄り添うような写真が。「これ欲しい~♪」とみんな口々に。その様子をずっと撮影している監督。
ブースの外では相変わらず仲が良くて、テーブルに固まっているシベリア柳生。ここのロビーはもうシベリア柳生の隠れ家(洞窟)そのもの。そこへ、ビデオカメラが乱入!慌てて姿勢を正す柳生衆。
「ここの演技、どう思います?」
「もうちょっとこんな感じでしてみようと思うんですけど」
いきなり真面目になったフリをする兄貴達に、監督がひとこと。
「あれ、君たちもう出番終わったんじゃないの?」
とたんに笑い転げるみんな。もう、ダメですよ、兄貴たちっ。
さらに堀江さんのヘリコプターの口真似(#10AR日記参照)も録音!
「これは最終話でのエンドカードで使おう。」うわっ、実現するんだ、楽しみだなあ。
そこへ「僕も花火の真似出来るんですよ。」と喜多役の前田さん。えっ、聞きたい聞きたい!!
「ヒゅーーーーーーん!パーン、パパッパパッパッパパ!」
すごいすごい!花火そっくり~~!!(でも残念ながら採用されず。)
しかし何でみなさんそんなに多芸なの?
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口真似といえばこちらも負けていません。モノマネの貴公子、長濱氏によるフリーシャの台詞もやってもらいましょう!
「イイナ、その名前」
うっわ~~ビミョー!!っていうかむしろ似てない!!
「え~~っ」とみんなからブーイングされる長濱氏。
「あれれ?似てません?おかしいなあ。」
そこへホンモノの恵里奈ちゃんがやってみる。
「イイナ、チョーダイその名前。」ほらあっ、全然違いますよっ。
再チャレンジする長濱さん。うん、今度はちょっと似てるかも。
じゃあ、監督もやってください。
「イイナ♪」
うっわあ、全然にてなーい(笑)
ここで再び多芸なほっちゃん登場、今度は「しずくん」の真似をします。
「キリキリはたらかんかーい!!」
すごいっ、うまいよ~。
「堀江さん、台本貰ってしずくんしか練習してないんじゃないの?」と訝しがられるほど(笑)。いや、ホントそっくりですよ。
これらの様子はDVD特典のメイキングに収められています。ものすごい長い時間録画したんですけれど、編集されて短くなってしまっております。でも現場の楽しい空気がとてもよく映っておりますので、ぜひぜひ観てくださいねっ。
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賑やかなひとときを挟んでBパートの収録が開始されます。
森の中を静かに流れる川、その水面に降り立ったフリーシャは、月を見上げてその名を呼び続けます。
『パーパ・・・パーパ・・・力を貸して・・・ワタシに・・・力を貸して・・・』
いくら呼んでもフリーシャの心には十兵衛の声は響いてきません。
『なんで・・・パーパが見えない・・・?なんで何も言ってくれないの?』
水に映る月の姿を斬りつけ、荒れ狂うフリーシャ。このBパートのフリーシャのセリフは何度も何度も録り直しをしました。額に汗を浮かべながら、スクリーンを見据える恵里奈ちゃん。その横には音響監督がつきっきりで演技を指導していきます。初めて敗北感に襲われ、ヤケになっているフリーシャに近付く菜ノ花彩。「無刀取りの心を授ける」と言いながら近付く彼を、あざ笑うフリーシャ。
「だって、一介の時代劇屋が正当な二代目十兵衛に『無刀取り』を授けるなんていうのは、本人としては可笑しいでしょ。だから、何いってんのこのオヤジ?くらいの気持ちで言ってみて。完全にバカにした感じなんだよ。」
「でも後半ちょっと聞いてみようかなという表情を見せて。」
「そんなに声で動揺を出そうとしなくても大丈夫だよ。画がしっかりしているから。」
「『消えろっ』というセリフも、抑える感じで。」
手負いの獣のように、まるで今にも彩に飛びかからんばかりの剣幕を見せるフリーシャに『迷いのどちらかが、ホンモノだ!』と叫ぶ彩。
さらにバンカラトリオwith四郎JAPANが駆け付け、フリーシャを説得します。
『俺は・・・一般人のフリーシャちゃんが好きだああああ!!』
フリーシャが斬っても斬っても写真を出し、必死に呼びかけつづける番太郎と四郎。
その姿を見て、転校生ラブリーズや彩たちとの日々を思い出すフリーシャ。
あの頃、心の奥底で自由を憎んでいたけれども、楽しいと感じる気持ちはホンモノだった。そして孤独な自分を忘れることが出来た瞬間だった。だが、今はやはり・・・!
『我こそは柳生十兵衛三厳の子、柳生フリーシャ。父の名を継ぐ唯一のもの』
こみあげる熱い思いに泣き出しそうになるのを堪え、顔を隠し去ろうとするフリーシャ。踵を返しかける彼女の前に、一つの影が現れました。
『じゅうべえ・・・!』
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変身の反動で発する熱を、鮎之介が身を挺して冷やしていきます。そんな気丈な鮎之介を見て、早く決着をつけなければならぬ、と決意する自由十兵衛。最後の力をふりしぼって自由に斬りかかるフリーシャ!!しかし、その切っ先には「迷い」が・・・。自由と過ごした短い時間の中の出来事がフラッシュバックします。
父の眼帯を受け継ぐべき存在は自分、なのに何故こんな女が、憎い、でも、あたたかい、いや、憎い、恨めしい、優しい、ひどい、悔しい、パーパを、なぜ、憎い、でも、愛おしい・・・!!時をかけて千々に乱れる思い。そして迷える刃は、迷いのなくなった自由十兵衛の指先で受け止められました。柳生新陰流・無刀取り!
刀を奪われ、真っ向から剣を突きつきつけられたフリーシャ。
負け・・・か。二代目は自分ではなかったのか・・・父の後継者は自分では・・・ラブリー眼帯は・・・
そんなフリーシャの耳に自由の声が響きます。
『フリーシャ・・・そのスペードの眼帯もまた・・・本物とはいえぬか・・・』
『何?』
『フリーシャの魂が・・・込められてはおらぬか・・・』
『!!』
幼い頃、一度だけ触れたことのある眼帯、シベリアで過ごした思い出、父と剣に憧れ、父のようになりたいと願い続け、孤独に戦い続けたフリーシャ。様々な想いが交錯し、ふと見上げるとそこには初代柳生十兵衛の優しい顔がありました。
『剣の道は「心」・・・剣はなくとも「心」があれば・・・きっとどんな時代でも生きていける』
よみがえってくる300年前の父の面影。フリーシャの瞳に涙が溢れ、流れ落ちていきます。
『フリーシャ・・・俺はとうとう出来なかったが・・・お前は剣など持たずに生きろ・・・!』
穏やかな微笑みと共に「生きろ・・・!」と願う十兵衛、そして、その面影が突然剣を振り上げました。フリーシャのマスクが割れ、振り下ろされた剣は・・・スッ・・・そのままフリーシャの指先に吸い込まれていきます。柳生新陰流・無刀取り・・・・!
『見事・・・』
初代柳生十兵衛の面影は、いつの間にか自由十兵衛に戻り、微笑みを浮かべています。
『今のパーパは・・・自由・・・!!』
とめどなく涙があふれるフリーシャを抱き寄せる自由!!その手から剣がすべり落ちます。
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フリーシャの剣は、まぎれもなく柳生十兵衛の力を受け継いだものでした。しかし、そこには「心」が欠けていたのです。剣を捨てようと願い続けた十兵衛の究極奥義が無刀取り。戦いをのぞまなかった自由は初めからそれを身につけ、戦い続けていたフリーシャは、今、剣を捨てることによって初めてその心を会得したのでした。
剣を捨てて、生きてほしい。心があれば、生きていける。父の願いが娘にようやく届き、シベリアの大地のように凍てついてしまったフリーシャの心が溶かされていきます。それにともない、氷のように冷たく白かったフリーシャの衣の色が、ひだまりのうに温かなレモンイエローに変わっていきます。
「はい、心の底から笑って!もっともっと笑って!!もっと長く笑って!!」とかずやさん。どうも笑ってはいるけどボリュームが出ないと感じたのか、「彩夏ちゃんとか安原さんとかみんな、二人の前に出て面白い顔してあげて。」と言い出すかずやさん。本番に、恵里奈ちゃんの足元にしゃがみこむ彩夏ちゃん。
「アハハハハハハハ」笑いの演技の最中の恵里奈ちゃんの膝の裏をくすぐる鮎之介。
「ウヒャヒャヒャヒャヒャ~~」と身をよじりながら笑うフリーシャ、ようやくOK!
大成功☆
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鮎之介が川底に光るふたつの眼帯を見つけます。それはまるでCDジャケットの写真と同じように寄り添い、きらめいています。泣き笑い、抱き合う自由とフリーシャ。あたたかな笑い声が周りを包み込み、大団円かと思われたその時!
『おい・・・喜多郎・・・!』
『え?』
『父を・・・呼んだの・・・』
喜多歩郎の肩に乗っていたしずくんが、ゆらゆらと溶けはじめ・・・
『フフフフフフ』
『ぐああああっっ』
みるみる巨大な氷の怪物に変化していきます。とりこまれる喜多歩郎!
『柳生・・・十兵衛ぇぇぇ!今こそ、北柳生三百年の恨み、打ち払ってくれよう!』
ついに最後の敵、アイス喜多烈斎が現れたのです。危機にさらされる自由とフリーシャ!
で、ここのシーン、しずくん役の東野佑実ちゃんが、「オイっキタロー」と一生懸命に目玉のオ○ジの真似をするのが可愛くって。また怪物の笑い声を一生懸命迫力を出そうとしているんですけれど、「うはははっはっはは~」かわいすぎるっ!!かずやさんもメロメロに笑いながら「はいOKです。」
いやあ、しずくん一人でCGだから怪しいとは思っていたけれど、ここまでとは。はてさてどうなる最終回。いよいよ、次の本線ARは最後でヤンス。あ、その前に複線レポも読んでくださいね☆それでは、お読みいただき有り難うございました!
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