『白いだけではだめだった』
『J2』のテーマのひとつに「本物とニセモノ」があることを、賢明なる視聴者諸氏の皆様はすでにお気づきのことと思います。例えば「二代目柳生十兵衛」とか「眼帯」とか「ゴーストライター」とか、どちらが本物か、ニセモノかという要素をめぐってストーリーは展開してきております。
そんな中、ここ11話のアフレコスタジオにおいて、なななんとっ「フリーシャのニセモノ」が現れたのでヤンス!なにっ?フリーシャのニセモノって・・・誰!?
あ、最近スタッフ間で流行っているフリーシャの物マネ?それが「微妙」に似ていると言われている長濱チーフ?それともあんまり似てない監督??
チッチッ、どちらも違うのデース。意外や意外、その方とはズバリ!ジャカジャン♪ホワイトタイガー仁佐衛門を演じる、矢部雅史さんなのでーッす☆ほわ~~い?前週、シベリア柳生の隠れ家がフリーシャに襲われ、ほうほうの体で自由に助けを求めに駆けていく仁佐衛門。文字どおり野を越え山を越え、谷を渡り、「じゅうべえさま~~~っ!!」という呼び声をこだまさせながら、ようやく御影の腕に抱かれた自由の元に辿り着きました。
驚きながら「堀田さん」と呟く御影に「いや、ホワイトタイガー仁佐衛門でござるっ」
とこだわる堀田さん。そのこだわりようは何?
ともかく「白い十兵衛」に斬られようとするシベリア柳生の仲間を助けてほしいと懇願するホワイトタイガー、反応を示さない自由に必死で語りかけます。
「助けてくだされ、十兵衛様っ!!」
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「その白き多分ニセモノの十兵衛めの付け加え伝言が・・・『ニセモノに会うたら伝えよ。きゃつらの仲間もシベリア柳生と運命を共にするとな』」と続ける仁佐衛門。
「矢部くん、そこフリーシャの口調でお願いします。」と音響監督から指示が出ます。
「フリーシャの真似ですか、はいっ」と矢部さん。さっそく中山恵里奈ちゃんに御指南いただきます。
「あ、じゃあ行きますよ。『ニセモノに会うたら伝えよ。』」
「ニセモノニオウタラツタエヨ~」恵里奈ちゃんの後にくっついて一緒にセリフを言う矢部さん。
「矢部くんっ、何か雅びだよっ!平安貴族っぽいよ!!」と爆笑するかずやさん達。
ほんとだっ、そこはかとなくまろっぽい!それに加えて矢部さんが恵里奈ちゃんの声を集中して聴き取ろうと目をつぶるから、すましているように見え、余計に気位が高く感じます(笑)。
再度チャレンジする矢部さん、「キャツラノ仲間モしべりあ柳生ト運命ヲ共二スルトナ~」あははははっやっぱり雅びだあ~っ。ブースの中も大ウケ!!矢部さんが真剣にやればやるほど可笑しくて!
「もういい(笑)、録りましょう。」と本番スタートっ!
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いまや魂が抜け殻となったような自由を目の前に、とうとうと訴える仁佐衛門、そこに喜多歩郎も現れます。
「とっつぁん」
「ぼぼぼぼ、ぼん!」
「その白いのは何て言ったんだい?俺達シベリア柳生をどうするって言ったんだい?」
「それは・・・」
そして次の「じき、このニェナスターヤーシャ眼帯は本物のラヴリー眼帯に変わる。その時は・・・」というセリフ。台本の上では10話のBANKを使うということで、「フリーシャ十兵衛」のセリフになっていました。だから当然ここは中山恵里奈ちゃんの声。
しかし、かずやさんが再び声をかける。
「矢部くん。」
「はい?」
「そこもフリーシャで。」
「はい??」
「フリーシャの口真似で。」
「は、はいっ!・・・???」
つまりフリーシャの画にホワイトタイガーがアテるという構図になり、一難去ってまた一難のホワイトタイガー矢部センパイ。またもや練習を始めます。
「ニエナスターシャあれ?ニエナスターヤシャ・・・」
横で恵里奈ちゃんが「ニェナスターヤーシャです。」と一緒に。
「ニエナスター、えーっニエナ~」
「さっ、本番行きましょう♪」容赦のないたなかかずや氏(笑)。
「矢部くん、じゃあそこは『ニエナントカ眼帯』にしてください。」
「えっ、でももう言えるようになってしまいましたよ。ふふふっ。」
「どれどれ」
「ニエナスタヤーシャ」
「違~~うっ!!」(爆笑)
結局「ニエナントカ眼帯」に決定!!でもこの方が、ホワイトタイガーっぽいですよ。そして、録音再開。矢部センパイ、先程と同じく「じき、このニエナントカ眼帯は・・・この二代目柳生十兵衛が遂行しようぞ」と厳かに。「さらに雅びになってるよっ」と大爆笑のかずやさんたち。この番組は『J2』であって『おじゃる○』ではありません。『ニセモノ言うやつがニセモノじゃあああっ~~!!』というニセモノフリーシャ仁佐衛門。もう可笑しくて可笑しくて。吹き出すのをこらえるのに必死な声優陣。みんな口を押さえています。
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さらに続く「ぼん」と「とっつぁん」との掛け合い。
「そういうことか・・・ようやくわかってきた?」
「えっ、ぼんが?緻密なことを考えるのが誰より苦手なぼんが、ぅわかったとなァァァァ~?」歌舞伎調のホワイトタイガーを無視して「いや、まだ全然わからねぇけどな」とサラリと喜多。
「どっちなのおおお~~~っ!?」全開の矢部センパイ。監督もみんな笑う笑う。
「いやあ、今の何かアニメっぽいよね(笑)。」
は~もォ、今日の笑いの殿堂入りはもうホワイトタイガーに決定かな?
いやいや、とっつぁんが全開なら、ぼんも負けていませんよ。
「北柳生新陰流、ウリキスペツァーレナヤチェーフニカァーーーッッ!!」と炸裂する喜多歩郎。前田さん、今日もカッコイイ!!
「前田君、ウリキの『ウ』の音もうちょっとハッキリ聞かせてくれる?」とかずやさん。
「あ、はい、ウリキウリキ・・・」
「はい、そんな感じで。」
「はい。」
と前田さん返事をした後、そのままマイク前からすっと離れ「ふーっ・・・」とソファに座った。
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・あれ?(本番)やりますよ。」ぽかーんとして、かずやさんが声をかける。
「・・・あっ!!」とわれにかえる前田さん。
なぜか休憩モードに入ってしまった喜多歩郎。めっちゃ普通に、素になって座っていたでヤンスよっ。思わぬぼんの失敗に大爆笑するブース内。真っ赤になる前田さん。そしてとどめにかずやさんが一言。「コザル、今の、書いといてね♪」合点でいっ!!
シベリア柳生衆も「ゾーゾーゾーゾー明日は晴れる?」と自慢のN-Hop(North-Hop)を聴かせてくれ、今日もお笑いパートは完璧だぁっ。
いやっ、シリアスでござる。今日はシリアスな回のはずでござるっ、助けでくだされ、十兵衛様っ!多分本物の二代目柳生十兵衛様~~~っ!!
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冒頭、深い悲しみの中に身を閉ざしてしまった自由。そして彼女をいたわる御影の姿は母・真琴のイメージとオーバーラップされています。
「人は誰も、たった一度の短い生涯を生きている。・・・でも時として、そこに自分を見失ってしまうこともある・・・それはなかなか自分では気がつかない。気がつけないまま、迷い道を300年も歩き続けて来てしまった人間が、ここにはたくさんいる・・・」
「自由、あなたはその人たちを助けてあげることができる。あなたにはその力がある。
あなただけの力が・・・」必死で語りかける御影に、自由は切れ切れに呟きます。
「ママ・・・私は・・・ただ・・・ここに、いたい・・・ただ・・・ママと、いたい」
絶望し溜息をつく御影。そして、その姿を戸惑いながら眺める喜多歩郎。彼はようやく自分の本当の気持ちと、真に倒すべき存在を認識し、それを伝えに自由の元へ来たのです。
しかし、どんなに喜多やホワイトタイガー仁佐衛門が話し掛けても、心を閉ざし続ける自由。そこへホワイトタイガーを追って駆け付けた父・彩が呼びかけます。
「返事をしろよ、じゅうべえ、じゅうべえと呼ばれたら返事しろよ。」
「なあ、じゅうべえ、前にお前が柳生十兵衛になったときな俺は必死でお前を取り戻そうとしたよな。」
「でも、やめた、考え直した・・・今度は俺は何もしない・・・自分で決めろ。」
「じゅうべえ・・・思った通りにやってみろ・・・いつもそうしてきたじゃないか。お前はいつだってそうしてきたよ、それが菜ノ花自由だろ、それがパパのじゅうべえなんだよ。」
彩の必死な呼び掛けに、自由の心が動き始めます。
「思ったとおりのこと・・・?一番やりたいこと・・・?」
「そうだ、じゅうべえ。」
森の精気が自由に降りそそぎ、目に光を取り戻す自由。ゆっくり身体を起こし、一本の古木の前に歩み寄ります。その根元に鈍く光るラブリー眼帯。
自由は、自分が決意した「一番やりたいこと」を口にします。
「わたしは・・・ずっとこの子を・・・この子を抱き締めたかった・・・」
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「普通」の女の子として「普通」の穏やかな生活をただ願っていた自由が、ラブリー眼帯を拒否し続けたのはやはり「普通」の感覚ゆえのこと。
ようやく戻った平穏な日々が、再び非日常の出来事に巻き込まれていき、父・親友ともに信じていた存在が自分の心をかき乱し、傷つけられたことに耐えきれず、閉じこもってしまった自由。それもこれもすべてはラブリー眼帯という忌わしいものゆえに。どんなに有り難いものかもしれないが、自分にとってはいらないし見たくもないラブリー眼帯。勝手に押し付けるのはもうやめてほしい。
だが、そのラブリー眼帯を自分に伝える為だけに、300年の月日を生き長らえてきた親子二代がいる。その二人の想い(特に子供の方の生き方)を知った時、自由の心に煩わしいという気持ち以上に、愛おしくて哀しいという感情が湧いた。しかし、それでも感情に流されることなくラブリー眼帯を拒絶し、結果的に鮎之介の存在を拒絶した自由。
もう一度、彩に呼び掛けられた時、自由は「一番やりたいこと」として、真っ先に鮎之介を思い出します。ラブリー眼帯、これを手にとった瞬間から、自由の望む「普通」であることはかなわなくなると分ってはいても、自由の心の底では何より、鮎之介を「抱き締めたかった」。そして彼の想いを今こそ、受け止めようと思ったのです。その選択の後に、たとえどんなことが待ち受けていたとしても・・・。
鮎之介を抱き締めて涙を流す自由。その傍にはいつの間にか、鯉之介がたたずみ自由を見守ります。
「三百年も、どんな思いをしてきたの?わたしに会うためだけにどんな長い月日を超えて来たの?・・・ごめんね・・・ずっと抱いて上げたかった。」「ごめんね・・・抱いてあげなくてごめんね。」
そして、自由の涙は鮎之介の壊れてしまった心と時間を優しく包み、ゆり動かし、ふたたびよみがえらせます。ここでのBGMは岡崎律子さん(※)の『凪~peace
of the wind』。8話で自由に心を破壊された鮎之介がその時間を止めるまで流れたのは岡崎さんのスキャットのみでした。そして今回は自由の、鮎之介の止まった時間を溶かしていくような優しく切ない歌声が入ります。
「このBGMを聴いた時、初めは8話で使おうと思っていた。でもよく聴くとこれは再生の歌なんだ。つまり鮎之介は8話で自由に一度殺された。でも11話で復活する。だから、8話ではスキャットのみにして、今回、その再生の歌声を入れたんです。」と音響監督のたなかかずや氏が語っていらっしゃいました。
「渡したかったのは愛」という歌詞の後にクローズアップされる、鮎之介の小さな手の中の小さなハート。
今、その「愛」を自由が手に取りました・・・
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一方、北柳生抹殺への一念にとらわれ荒ぶる剣を振るい続けるフリーシャ。喜多歩郎・御影、どれも敵ではない。そしてその陰から現れたラブリー眼帯をつけた自由の姿を認め、驚きつつもほくそ笑みます。
「ようやく、来たなニセモノ!我の前に現れただけでも讃めてとらそう、自由」
フリーシャを見据え、刀を抜き、名乗りを上げる自由。
「我こそは真の二代目柳生十兵衛、菜ノ花自由!」
初めて自由十兵衛が発する声。堀江さんの低音が響きます。淡々としているけれども芯の強いその声には、自らの強い意志が込められています。
「フリーシャ、其方が二代目であることは認めよう。だが、私も真の二代目であることは事実。」
「フリーシャ・・・其方にこの十兵衛は斬れぬ。」
「なに?」
「心に陰りを抱いてはな・・・」
「剣の道、勝負は・・・心のものだ」
その言葉を聞いた喜多歩郎の脳裏に、300年前の柳生十兵衛の言葉がよみがえります。自由はまぎれもなく二代目柳生十兵衛の「心」を引き継ぐ者・・・!
フリーシャの目の前にいるのはかつて鉄橋で刀を交えた「心」「身」がばらばらだった自由ではなく、初めて自分の意志により柳生十兵衛の姿になった自由。少なからず動揺するフリーシャの手が小刻みに震え始め、その震えで刀がうなり始めます。一方、微動だにしない自由十兵衛。夜の冴え冴えとした冷気を伝わり、剣が鳴動します。そして・・・
「いやあああああーーー!!」
フリーシャの唸り声と共に、親友同士の戦いの幕は斬って落とされたのです。
いよいよ次回は、自由VSフリーシャの最終戦。どうぞ楽しみにしてくださいね♪
それでは最後まで読んでくださり有り難うございました。
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