『出かけた涙をこらえてた』
「気づいたらほとんど初代十兵衛と喜多烈斎の会話しかなかった。」
13話の脚本を書き終えた監督の言葉どおり、最終回は目黒祐樹氏VS竹内力氏、お二人のステージであった。『J2』は300年前の因縁試合の決着をつけないことには終わらないのだ。
「ほかのキャストはみんな一言くらいずつだね。」えっ、自由とフリーシャは?
「ほとんど12話で終わりだと思ってて。」えっ、じゃあバンカラに至っては・・・
「うん、ほとんど出番ないね。」ガーン!!(やっぱし!)最終話は初めに17時から竹内力さんの収録が行われました。
さすがに三回目のアフレコということもあって力さんはとてもリラックスしていらっしゃるように見えました。しかし、今までとは比べ物にならない量の台詞(&叫び)があります。台本をめくりながら「今回(セリフ)多いですね。難しいな」ええ、9:1の割合で喜多烈齋と柳生十兵衛が9です。でもって、そのうち喜多烈斎は8割です。
「人生最大の危機ですね(笑)」と力さん。
1話、9話の時はいずれも調整室から見学させていただいたが、今回はブースの中に入らせていただいた。うひゃあ、手を伸ばせば届く距離に竹内さんがいるでヤンス。コザル、もう石コロのようにガチガチに固まって、ベンチに座っていた。
これまでと同じく、松山鷹志さんが隣につきっきりで竹内さんにアフレコのアドバイスをする。でも指導されている光景を間近で見るのはこれが初めて。
松山さんは台本の喜多烈斎のセリフと映像を全部チェックしてこられて、
「○○秒に、剣の振り上げがあって、台本には書いてないけれど次に振り降ろしているのね。そこに声を入れるかも。」
「ここは台本では喜多歩郎ってかいてあるけど、喜多烈斎かも。」
「○○秒に小首をかしげる仕種があるから、ここも声を入れるかもしれない。」
「ここもしアドリブください、って言われたら入れて。」
と次々にポイントを挙げていきます。うわあ、こんなに細かくアドバイスされていた
んですね、松山さん。
横で聴いている力さんは「大変ですね。いつも大変だから、台本あんまり読まないようにしている(笑)」と一言。そして「もういい、メモしても多分一緒だ!!途中時間かかるし。NG500回くらい出すしっ。」「そんな出すのかよっ」とツッコむ松山さん、あはは!たなかかずや氏もブースに入ってきて、いよいよ喜多烈斎の最後のアフレコがスタートしました!!
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まずは12話、しずくんがアイス喜多烈斎に変化するシーンから。
300年前の怨念が凝縮され化身となった「しずくん」、喜多歩郎の叫びに応えるように「しずくん」は氷の怪物「アイス喜多烈斎」の姿となって現代によみがえります。
前週、収録したしずくんの笑い声に合わせるため、竹内さんにはヘッドホンが渡されます。
って、力さんそれは聴診器じゃありませんよっ!!ちゃんと頭にかぶってください~!
そうそう、それが正しい使い方でヤンス、ホッ。
そしてヘッドホンから流れるしずくんの声に合わせる力さ・・・「ヘイワンチューヘイヘイ☆」あわっあわわ合わせてな~~~いっ!!
映像が終わると「よし、終わった。次の台本っ」いやっ、まだ一言もなんっにも録っていませんよおっ!しかも力さん、今違う歌うたってましたよおおっ。のっけからなんちゅうハイテンションっ!
ひとしきりおどけた後、ようやく台本に目を落とす力さん。
「何これ『ヅクルルグワア』??えっ、これ何?フランス語?」あ、それはアイス喜多烈斎の叫び声です、文字で書いてあるとナゾですよね。たなかさんが「しずくんにも入ってもらって練習しようか。」と言い、東野佑実ちゃんがブースに入ってきた。
「三郎ですっ」と早速自己紹介する力さん(ええっ!?)
「どこのサブローだよ。」とツッコむ松山さん。
「今、ラーメン屋やってるんですよ、食べに来てください。」
「はい、ぜひ。」とどぎまぎしつつ答える佑実ちゃん。
「嘘です。」
ブースに入ってくるなりすっかり力さんのペースに巻き込まれた佑実ちゃん。笑いながらコザルの横に並んで腰を掛ける。
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12話の映像を見ながら大地監督とたなかかずやさんがアイス喜多烈斎のキャラクターついて説明します。
「あんまり怪獣みたいに動いてはいないんですね。大魔人のような感じです。」
「あとで人の姿に戻ります。」
「大きいです。」
それを聞き力さんは「じゃあ。ちょっと(イメージ)違うな。この笑い声変えた方がいいかな。」と積極的に役作りをされていきます。
「どういう風にされますか。」
「ヌハハハハハ~」
「あ、いいですねえ。」
「大変だな、キャラ作るのも。」といいつつ、上着をぶわさっと脱ぎ捨てた力さん!!
「あ、脱ぎましたよ、脱いじゃったよ!!」と本気モードにビビる監督たち。さらに体操したりキックを始めました!さあ燃えてきましたよっ!!
「みんな今日は朝までですか?」と元気な力さんに「ジョーダンじゃないよっ(笑)」
と松山さん。ひゃはははっ。
そんな楽しい雰囲気のまま、あっと言う間に12話のセリフを録り終え、引き続き13話のアフレコに入ります。
夜、凍りついた川の中を狂ったようにさまよい続ける喜多烈斎。そこには柳生十兵衛との勝負への執念しかありません。
『どこだ?十兵衛、勝負をしろ十兵衛っ、今こそ北柳生三百年の恨み、打ち払ってくれよォォォォう!』
アイス喜多烈斎の咆哮。ブースの壁がビリビリします。さすがですっ。
「終わった、さあ帰ろう。」
「いや、まだですっ」と慌てて引き止めるかずやさん。始まったばかりですよ。今日は朝までのはずですよっ。
そんな喜多烈斎の中に取り込まれた息子・喜多歩郎が必死で呼び掛けます。
『違う!!オヤジ違うんだ!!』
熱演する前田さんの隣で、力さんが「お前、うまいなあ。」と一言。
「感心しててどうするんだよっ(笑)」と松山さん。
そう仰る喜多烈斎の渋い演技も素晴らしい。
『共に300年の思いをとげようぞ!』
氷に閉ざされたまま怨念が凝り固まり、変化した怪物の耳にはもはや語りかけてくる息子の言葉は届きません。
柳生十兵衛の姿を求めながら、周りのもの全てを破壊しつくすアイス喜多烈斎。
『うおおおぁああ!』と咆哮するやみくもに氷の刃を振り下ろしていくシーンでは、力さんは目を白黒させながら「ウオワゴボァッ」と吐く真似をしてます。「あっなんか戻してますよっ(笑)」と慌てるかずやさん。
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鮎之介がニエナスターヤーシャ眼帯をフリーシャに、ラブリー眼帯を自由に渡し、二人が変身するします。
『二代目柳生十兵衛、見参!』
『十兵衛――っ!!』と歓喜の声をあげる喜多烈斎。ようやく300年間待ち続けていた相手に出会えたのです。
「今、理性がなくてもう十兵衛しか見えてないんです。エサきたーー-ッッて感じで。」とかずやさんが説明。
すると「エサくれーーっ」と言いながら口を尖らしてひよこの真似をする力さん。かかか、かーわいいっス!
「だからここの『十兵衛―っ』という台詞をそんな感じで言ってみてください。」
「『勘兵衛―っ』とか言っちゃおっかな♪」
「終わんないじゃないですかっ。ご自分で終わらなくしてどうするんですかっ(笑)」
恐るべき力をふりかざすアイス烈斎、そして、W十兵衛は二人掛かりにも関わらずまるで赤ん坊同然にひねられてしまいます。その力の差は歴然。
覚悟を決めた自由十兵衛は単身でアイス喜多烈斎の前にたちはだかります。自分を真っ直ぐな瞳で見つめてくれた喜多歩郎を救い出すために。対峙する二人。
『抜けっ!!抜けっ!柳生十兵衛・・・何故抜かんっ十兵衛っ、あの時も・・・ついに抜かぬままであったっ!』
「ああ、そこちょっとセリフを巻いていきましょうか。」とかずやさん。
「ツイニヌカヌママデアッタ(めちゃめちゃ早口!)」
「巻きすぎですっ」
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「声優さんって大変だなあ。どういう学校で勉強するの?」
「息が持たないよ。普段の仕事よりすごく疲れる。役者はラクだと思うよ。」
と仰りながらちょっと暑そうなご様子。ブースは小さいからすぐに熱気がこもっちゃうんですよね。
「あおいであおいで!!」とかずやさんがわれわれに。は、はいぃっ!!
ふうふう言っている力さんを台本でパタパタとあおぐ佑実ちゃんとコザル。
「世話のやけるやつだねえ」と松山さん。
「まだ21歳ですから、お子ちゃまですから。」と力さん。えっ!そうだったんですかっ。
力さんの喉のために「叫び」は後で録ろうということになりました。
「後半はほとんど叫びっぱなしだよ」と脅かす松山さん。
「うわあ、みんな絶対早く終われとか思ってるんだよ。」
「10人中5人くらい思ってるだけだよ。」という松山さんのコトバにショックを受け、ばさっと台本をとり落とす力さん(笑)。
爆笑するコザルに「この未熟者めっとか思ってるんだろォ!」とすごみます(でも口元は笑顔)。ええええっ、そんなこと思うわけねえでヤンス~~!!
こんな具合に、非常にテンションの高いまま、Aパートの録りは終了。
ここで少々休憩を取ることに。立ちっぱなし叫びっぱなしの竹内さん、本当にお疲れさまです。
ロビーのテーブルには沢山の差し入れが並んでいて、みんなでつまみながらしばし歓談。
実はチーフディレクターの長濱氏と竹内さんは同郷の方。長濱さんは、いつか力さんとそのことについてお話ししたいと思いつづけ、とうとう今日、念願のローカルトークが実現しやした。「実はウチの姉貴が竹内さんの後輩で、ファンでして・・・昔、写真見せられたことがあります。」「えっ、そうだったの?何組?」とか「駅前の○○屋、つぶれてしまってました。」「ああ、あそこはよく溜まったなぁ。」とか(笑)。懐かしそうな力さんの顔、すっかり『J2』の現場にうちとけてくださっています
♪
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休憩が終了し、アフレコ再開!
Aパートで怨みの思念体と化していた烈斎が、Bパートでは多少、侍だった頃の自分を取り戻し、哀し気に過去を語る場面から始まります。
『そこにおるのは・・・柳生十兵衛であるか・・・?よう見えぬ・・・月の明かりが眩しすぎるのかの。』
『柳生但馬守によって我が北柳生は壊滅の憂き目におうた。』
と言おうとして「柳生たじたじたじたじたじたじ」とかんでしまった力さん。ずっこける監督たち。
しかし、『一度で良い・・・わしはお主と剣を交えてみたかったのじゃ。天下一どうしでの・・・だが・・・』と300年間の思いをせつせつと吐露していく喜多烈斎の語り、それはとても長い台詞だったのですが。力さんは一度で完璧に演じてくださいました。
『・・・この尋常でない苦しみがわかるか、柳生十兵衛』
「もう今、シビレてるよ。すごいいいですよ。尋常でない苦しみが伝わってきましたよ。」感激する大地監督。
そんな喜多烈斎の勝負への執念に今度はフリーシャ十兵衛が単身対峙します。名乗りを上げ、アイス喜多烈斎の懐に飛び込むフリーシャ。しかし、あれほどの力を誇っていた彼女も強大な氷の壁の前には無力。
『これが柳生十兵衛の剣と申すか・・・未熟!!』
「ここは喜多烈斎は余裕なので、軽く相手をあざけ笑う感じでお願いします。」とかずやさん。
「笑うくらいでもいいのかな。『未熟・・・ぬはははは』って。」
「あっ、それもいいなあ。」
「やっと現れたのが嬉しくて仕方ない感じです。『十兵衛・・・くくくくくははっはは十兵衛―――っ』って感じですね。」
「うまい!!もう俺いいやっ」と台本を投げる力さん。
「いやいや!やってもらわないと困りますっ」と慌てるかずやさん。
「あんた、うまいなあ。俺の代わりにやった方がいいんじゃないの?」
「何言ってるんです。わたしは1カットしか持ちませんよっっ。」
このお二人のコンビ、むちゃむちゃ可笑しっ(笑)
『くくくく・・・くははははは!!じゅうべえええええ!!』
「完璧です!!」と監督。その声に上着を脱ぎ、踊る力さん。なんてお茶目なんでヤンショ。
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そして、合体十兵衛に斬られた、怪物最後の笑いを録ります。
『くくくく・・・』ついに好敵手とめぐり合い、心ゆくまで勝負し、決着がついた時の満足気な笑い。長い苦しみから解放される喜び。ここは何度も録り直しをし、力さんにはたくさんの種類の笑いを出していただきました。
『くっくっくっくっ』
『ぬっふっふっふっ』
『くっはっはっはっ』
「何か夢に出てきそうだよ。」と「クククク」と笑いながら歩かれています。あっ、目の焦点が合ってないですよっ。もう少しで終わりですから!!頑張ってくださいませ!
そして氷の鎧を打ち砕かれた烈斎は、昔の武士装束の喜多烈斎に戻ります。(通称きれい烈斎)。
『見事じゃ・・・柳生十兵衛三厳』というセリフなのですが・・・
「はい、(身体が)ちぢんでいきますよ~」というかずやさんの声に
「ミゴトヂャ、柳生十兵衛ミツヨチ」と幼児化していく力さん。
「あっ、小っちゃくなっちゃダメですよッ!!」
初代柳生十兵衛と向き合って語る喜多烈斎。剣の時代の終わりをどこかで予兆しながら剣を捨てられなかった思いは同じ、そして北柳生も江戸柳生も共に剣を愛する武士であることに変わりはない・・・長い間、二人を隔てていた大きな誤解の壁が崩れ、理解しあった瞬間でした?
『お主の残した二代目の腕、見事であった・・・お主の「心」そのものであった・・・。』
『負けだ・・・300年に渡る心残りは消えた・・・礼を申す』
この最後の台詞もやわらか目、かた目と色々な表情をつけて何度も録りました。
「『礼を申す』はオンリーでとらせてください。たっぷり言いたいんで。」と力さんご自身でリクエスト。
何種類かの『礼を申す』をすがすがしい表情で一言ずつ言われる力さんは「トーンを落として優しさを表現したかった。」と仰っておりました。
「どれもいいなあ。」としみじみ聴く監督たち。この言葉によって300年間の呪縛は解けたのです。
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「オーラスに一言入れたいんですが。」と力さんに話しかける大地監督。
「『吸血鬼だあ~!』」
「そんな簡単なアニメ!?じゃなくて『喜多郎』です(笑)。」
「オイキタロー!!(目玉のおやぢ風)」
終盤が近付くにつれ、ますます元気になっていらっしゃいます。そして最後のセリフはバシっと決めてくださいました。
『喜多郎を頼んだぞ、仁佐衛門・・・』
最後の最後で息子の安否を気遣う父親の顔を見せる喜多烈斎。かつて幼い喜多歩郎に見せたのと同じ微笑みを浮かべながら、その魂は安らかに虚空へと消えていきました・・・
これにて喜多烈斎のアフレコがすべて終了しました。
竹内さん、本当に、本当にお疲れさまでした。北柳生の長きに渡る勝負への思念、そして浄化・・・哀しくも、気高い人間像を見事に表現してくださいました。初めてのアフレコとは思えないその圧倒的な存在感と演技に皆、圧倒され、惹きつけられ、刺激を受けました。これ以上はありえないほどの素晴らしい喜多烈斎を見せていただき、本当に有り難うございました!
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20時半、竹内さんをお見送りした後に他のキャストの方々がブースに入って来られました。
「もう、力さんすごかったですよ~」と興奮する佑実ちゃん、コザル。
そして一緒に演じた前田さんもコーフン!
「日焼けしてェ、すごいキレイな肌でェ、カッコ良くてぇ・・・」
「ねえ、前田君は何を見てたの?」とホワイトタイガー矢部さん。
まだブース内には先ほどの熱気が残っている中、堀江さんと中山さんがマイクの前に立ちます。
フリーシャとの死闘、その直後に現れた巨大な敵。もう一度、自らの意志でラブリー眼帯をつける自由。渾身の力でフリーシャと戦った自由の身体にはすでに限界が来ていました。しかし、救わなければならぬ者がいる。喜多歩郎・・・お主との勝負をつけるまでは、まだ・・・!
『フリーシャ、わたしはもうどれほどもつかわからぬ・・・』
『その後もし・・・もし戦いが続くなら・・・フリーシャ・・・頼む!』
言い残し、アイス喜多烈斎に向かっていく自由。かすむ目元を押さえながら、力をふりしぼります。その肩をめがけて冷酷に振り下ろされる喜多烈斎の氷の刃!動かない自由・・・勝負ありか!誰もが絶望しかけた時、
『柳生新陰流・・・無刀取り・・・!』
自由の変身熱により、溶けていく氷。水蒸気が発せられ、アイス喜多烈斎の剣と身体がくずおれていきます。その中から救い出される喜多歩郎・・・!!
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しかし息つく暇もないまま、喜多歩郎との「手合わせ」の約束を果たそうとする自由十兵衛。間合いを取り、一瞬の隙を狙い跳躍する二つの影!暗闇に刀と刀のぶつかり合う音が幾度も響きわたり、そして、自由の剣が喜多歩郎をとらえ、斬り裂きました。
地面に倒れ伏す喜多歩郎、しかし同時に自由十兵衛も力を使い果たし、気を失います。
駆けつけ、抱き起こすフリーシャ。
直後、その耳に不気味な地鳴りが聞こえてきたのです。顔を上げたフリーシャの目には信じられない光景が!自由十兵衛が倒したはずの喜多烈斎の復活。そしてその声は、どこまでも柳生十兵衛を求めているのでした。
『喜多烈斎・・・私は十兵衛三厳の子、柳生フリーシャ・・・父はすでに300年前、この世を去っている・・・』
父がラブリー眼帯を作り上げたことも、自分がニエナスターヤーシャ眼帯を作り上げたことも、すべてはこの最後の戦いに行きつくためであったと悟ったフリーシャは、二代目柳生十兵衛として、誇り高く、正々堂々と勝負に挑みます。
『柳生喜多烈斎・・・其の許の思い、父、十兵衛三厳に代わりこの柳生フリーシャが、お受けいたす!!』
この恵里奈ちゃんの言い切り方が見事だったと、監督は仰っていました。凛として、ココロも強くなったねフリーシャ。そして、堀江さんの自由十兵衛は、淡々として抑えた口ぶりの中に、戦う道を選んだ自由の決死の覚悟が重厚に表現されていて、ぐっときました。
『これが最後になる・・・自由の望む最後に・・・』
自由の望む最後とは・・・戦いを終わらせ父や友の待つ「普通」の生活の帰ること。そのために自由は戦いつづけたきた。第一シリーズの最後では、自由の意識を押し殺して、柳生十兵衛としての使命を果たす責務を先行させていた自由十兵衛。しかし自由がみずからの手で自由十兵衛と一体になる道を選んだことにより、自由十兵衛は意識下で、菜ノ花自由の望んでいることを何よりも理解していたのです。だから、同じ真の二代目柳生十兵衛であるフリーシャにこう言うのです。
『最後は共に・・・』と。
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(合体十兵衛については複線AR日記にて書きます)
喜多烈斎およびシベリア柳生が成仏したのち、300年ぶりに会話する父娘。初代柳生十兵衛が彩に会釈するシーンのト書きに「彩も慌てて会釈。PTAの会合かっ」と書かれているのが個人的にウケたでヤンス。
最終話の目黒裕樹氏のアフレコは、残念ながらスケジュールが合わなくて見学できなかったのですが、後日、単独でお録りになられた時はさすがに慣れていらっしゃって、サクッと終わられたそうです。
大地監督は、「嗚呼、目黒さんに『ぽちゃぽちゃのぷりんぷりん』と言っていただきたい・・・」とかねてより仰っていたのですが。監督、お願いできたのでしょうか?
「・・・とうとう言えなかったぁっ」。
あはははっ、それでも目黒さんが『ほんとうにかわいいなあ十兵衛ちゃん』と言ってくださっただけでも、ものすごい貴重な気がします(笑)。
そして、彩夏ちゃん、鮎之介が本当は女の子でびっくりしましたよね。
「はい!台本読んでてええええええーー!!って思っちゃいましたよお。やっちゃった!って感じ。」
いやいや、でも本当に男の子だとみんなが思い込んでいたからこそ、思い切りのいい演技が出来たんですよきっと。
大地監督、鮎之介は元々そういう設定だったんですか。
「うん、だから1話の冒頭あたりで、鯉之介と一緒にいる鮎之介は女の子のなりをさせているんだよね、カンザシをつけて。
本当は、鯉之介が別れる時、『お前はもし父が戻らない場合は、『男』となって二代目様を探しにいくのだ。お前は今日から、『鮎之介』と名乗れ。』みたいなことを言い残して旅立っていったんだよね。番組中にそこまでやる時間がなくなってしまったから、1話でちらっと出しちゃったんだけど「忘れよう。」と思ってたんだけど(笑)。でもスタッフからの要望が強くてやっぱり最終話で女の子にしました。」
とても可愛かったですよ、彼女。あれっ、じゃあ鮎之介の本当の名前は・・・?
「『あゆ』だよ。今なら言えるけど心残りなのが、最終話で鯉之介に、『よくやった、鮎!』って言わせればよかった。悔いが残っていますね。「あゆ」って言えば俺は満足でした。」
「最終回は広げた風呂敷をたたまなくちゃいけないんだけど、全てのキャラクターにスポット当てたいけど、無理だからエンディングを変えることにした。」という監督。
あ、なるほど。だから最終回のエンディングは色々なことが起こってるんですね。
喜多歩郎に郵便配達されたいですよっ。もう他のキャラも必見ですよ。
あ、そういえばミックは?「ミックはねえ、彩に弟子入りしたの。」へええええ~~~・・・・。
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フランソワの方は休憩時間の雑談で寝言の話をしてくださった。
「わたし、以前、寝言で『いらっしゃいませ、いらっしゃいませ』って言ってたらしいの!」うわあっ、麗子さん何を売ってたんですかァ?気になるゥ。
すかさず彩夏ちゃん「あやかはねえ、夏になると夢遊病になるの。」えええっ?
「朝になったら冷蔵庫を開けて寝ているの。でも全然覚えてないの。」
「・・・・・・」。
さらに、この日は彩夏ちゃんの迷語録が次々登場!
「ええっ、ハムレットって犬の名前だと思ってた!」
「えっ、これ『おやかたさま』って言うんですか?『おかんさまー』って読んでた!!」
そそそんなお館様も犬もイヤだっ!
でもそんなお茶目な彩夏ちゃんも、麗子さんの前では立派な『台詞の先生』なのです。
13話最後、エンディングの後の御影のセリフがカミカミになってしまう麗子さんに、かずやさん、いつも通り「あやかちゃん、ねえさんに教えてあげて。」とお願い。
「ねえさ~ん、あやかがセリフ聞きますよ。」
「はいお願いします(笑)。」と麗子さん、彩夏先生の前でセリフを練習します。
『いえ、インチキ時代劇をお書きになるのは一向にかまわないのです・・・』」
「うーん『お書きになる』が少々・・・もうちょっと怒るといいかもね。」
「はい、先生。」と神妙に(でも笑いをこらえて)聞いている麗子さん。
横で聞いてる大地監督は我慢できずヒーヒー笑っている。最後まで、この小さな先生と大きな生徒のコンビは最高でした。
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この日のラストにはシベリア柳生衆の別れのシーンを録りました。
「なにげない会話をしてください。『グラサン買ったの?』『駅前で1000円だったよ。』とか。その方が余計、別れの辛さが出る。」とかずやさん。このシーンはすべてアドリブで行われました。
ホワイトタイガーが喜多烈斎を呆然と見送っている横から、次々と天に昇っていく柳生衆。
『さて、とそれでは行きますか』
『ああ、終わった終わった』
『今日は一杯やりましょうか、久しぶりに』
『ああ、いいですね、酒飲みてえなあ』
『ぐーっとね』
去っていくシベリア柳生の会話は、そのまま『J2』の終わりを象徴しているかのようでした。
『お、おいお前らどこへ行くんだよオイ、おい何だよ、オ、オレもつれてってくれよ~』
『お館様ァ-ッ、おおおおお前らぁあああ~あああ~・・・何だよ・・・何だよォ・・・』号泣する仁佐衛門。
そして、これにて最後の本線ARすべて終了!
ブースから出てくると大地監督が涙を拭きふき「ちきしょー!!矢部君に泣かされたああっ!!」
自分のパートを録り終えた声優がブースから一人帰り、二人帰り・・・としていった今日のアフレコ。そして最後に残ったシベリア柳生もまた物語から去っていくその様子が、『J2』の本線アフレコはこれで最後なんだという監督の気持ちに重なったのかもしれません。
「お疲れさまでした~ッ!」
「本当に有り難うございました!!」
「ああー終わったー!」
「また打ち上げでっ」
と挨拶の声があちらこちらで。本線最後の日ということで、沢山のスタッフの方々も見えてロビーは賑わっています。「こうやって一つずつ終わっていくんだね。」とポツリと呟く監督。その顔には寂しそうだけれども、満足気な表情が浮かんでいます。
そしてひとり一人が『J2』に対する想いを胸に、名残惜しそうに街の喧噪と雑踏の中へ消えていきました。その後ろ姿をいつまでも見送っていたい、いつまでも・・・。そんな気持ちを抱えたままこの夜は過ぎていきました。
それでは最後までお読みいただきまして有り難うございました。
次回は本当に最後の複線AR日記です。お見逃しなく☆
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